昨年12月のJacobTV Showに曲目解説文を提供したが、その文章を公開しようと思う。ちなみに「Kaku!」の曲目解説については残念ながら公開できない。これは、当日聴けた人だけの特権、ということで(笑)。
まず最初に今日公開するのは、プログラム冊子冒頭に付け加えたJacobTV作品の紹介文である。「JacobTVの肖像」というタイトルで、800字程度を目標に書いた。面白いと思って書いたのだが、今読み返してみるとちょっと荒削りだなー。
----------
今日の演奏会にお越しいただいたキッカケは何でしょうか。サックスが好き?大石氏のファン?VACANTの常連?その理由はどうあれ、本日はJacobTVの世界をたっぷりと堪能していただきましょう。
JacobTVこと、ヤコブ=テル・フェルドハウス Jacob ter Veldhuisは、1951年オランダ生まれの作曲家。音楽家としてのキャリア初期においては、ロック・ミュジシャンとしての活動がメインだったそうですが、いつしか作曲の世界へと傾倒していきました。1980年にオランダの作曲賞を受賞して確固たる地位を確立し、それ以来、今日まで弛むことなくエキサイティングな創作活動を継続しています。
JacobTVは、自らが創り出す音世界を"アヴァン・ポップ"と称しています。これはいわば、"ポップ・アート風のゲンダイオンガク"。世間一般に蔓延する現代音楽のイメージ…「難しい、良く判らない、美しくない」を根本からひっくり返し、ジャズやロックといった音楽ジャンルを取り込んで、まるでポップ音楽のような感覚で楽しめるような作品を次々に産み出しています。
ポップな音楽の秘密は"ゲットブラスター"の活用です。聴きなれない言葉ですが、アウトドア用大音量ラジカセを表すオランダ語。1980年代のヒップホップ全盛期に、音楽を戸外で鳴らして踊るために使われたラジカセを想像してもらえれば良いでしょう。JacobTVは、サクソフォンを始めとするソロ楽器と、ゲットブラスターから流れる人の声をコラージュしたサウンドトラックとを組み合わせることで、現代音楽の世界に新たな地平を切り開きました。さらに一部の作品では、音楽と映像をリンクさせ、視覚的に訴えかける試みも。
本日のメイン・パフォーマーである大石氏は、これまでも「Grab It!」を始めとするJacobTVの作品に何度も取り組んでおり、日本国内におけるJacobTV演奏のスペシャリストの一人です。今日は果たして、どんな刺激的な演奏が飛び出すのでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿