ドミニク・タッソ Dominique Tassotというサクソフォン奏者の名前は、あまり日本では知られていない。だが、このアルバムが国内でも比較的きちんと流通していることもあり、CDショップでサクソフォン協奏曲のアルバムを探したことのある方ならば、このタッソ氏のCDを手にとったこともあるはず。
タッソ氏は、1960年フランス出身のサクソフォン奏者。現在は、Charleville-Mezieres音楽院の教授を務めるほか、コンサート・サクソフォニストとして、室内楽奏者、さらにピアニストとしても活躍しているそうだ。また、ジャズの方面での活躍も目覚しく、数々のバンドへ参加してレコーディングなども行っているとのこと。
「French Saxophone: 20th Century Music for Saxophone and Orchestra(audite 97.500)」は、タッソ氏がミュンヒェン放送管弦楽団と組んで録音した、サクソフォン協奏曲集。そもそもサクソフォン協奏曲のアルバム自体、Naxosが台頭してくるまではやはり割合は少ない。CDの制作は、よっぽどもの好きなプロデューサーや社長の鶴の一声があるという状況下以外では、採算がとれるかどうかというところに関わってくるから、「サクソフォン協奏曲」などという領域になると、なかなか…(^^; 本当は、それだけじゃ音楽は発展しないのだけど。
Henri Tomasi - Concerto
Andre Caplet - Legende
Jean Absil - Fantaisie caprice, op.152
Marius Constant - Musique de concert
Claude Debussy - Rapsodie
見ての通り、なかなか正統派というかドビュッシーはともかくとして「そういえば、この曲のオーケストラ版って聴いたことないね」という曲を取り上げていることがわかる。トマジは、たぶんドゥラングル教授のアルバムがリリースされるまでは、これ一枚だけだったと思う。カプレ、コンスタンも、SNEレーベルにレコーディングされたダニエル・ゴーティエ氏のCD(私は持っていないけれど…)くらいではないかな?アブシルに至っては、このCDで初めて聴いた。
最初はびくびくしながらCDを再生したが、意外なほどに上手いのですよ!技術的にはかなりきちんとしたレベルだ(サクソフォンのCDでは、けっこうここが重要だったりする…)。例えばトマジを聴いてみると、オーケストラが良い。トマジはオーケストラがガタガタだと勢い系の演奏に走りがちだが(シンガポール交響楽団とか…)、このアルバムに収録されているのは、熱くならずに冷静にアンサンブルしているような雰囲気を感じられる。さすがにサクソフォンのパートはドゥラングル教授の演奏には敵わないか…ここまでヴィブラートを抑制するならば、一つ一つの音のニュアンスにもう少し変化があっても良いと思う。しかしこれも、あくまで聴き比べた場合の話であって、これだけ聴くなら十分すぎる独奏かも。
他に収録されている中だと、コンスタン「ムジク・ドゥ・コンセール」が良いなあと感じた。ゆっくりな曲になると、どうしても表情の変化が欲しくなってしまうところ、「ムジク・ドゥ・コンセール」くらい現代的な曲であればとても素直に聴ける。
最近ではCDショップで見かけることは少ないが、探してみたところAmazonで取り扱っているようだ→French Saxophone 20th Century Music Saxophone & Orchestra
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