2010/08/26

Quatuor Alexandre "Reminiscence"

ときどき、昔にも紹介したCDを引っ張り出して、もう一度紹介しないといけない。何気に1600件くらいの記事があるのだから、全部の記事を読んだことがあるのは…書き手くらいだろう(爆)。

アレクサンドル四重奏団 Quatuor Alexandreは、ダニエル・ゴーティエ Daniel Gauthier氏を中心に結成されたカナダの四重奏団。名前の由来は、グラズノフに敬意を表して付けられた。ゴーティエ氏は現在ドイツでアリアージュ四重奏団のメンバとして活動しているため、アレクサンドル四重奏団は現在は活動していないと思う。その四重奏団がおそらく唯一レコーディングしたアルバムが、「Reminiscence(Societe Nouvelle d'Enregistrement SNE-566-CD)」である。

個人的には、世界に数多存在するサクソフォン四重奏のアルバム(CD)の中で、確実に5本の指に入るものだと思っている。トータルポイントでこれを上回るとしたら、デファイエ四重奏団のEMI復刻盤や、ハバネラ四重奏団のライヴアルバム…くらいではないか?

Alfred Desenclos - Quatuor
Alexandre Glazounov - Quatuor, Op.109
Guy Lacour - Quatuor
Daniel Pilon - Transparences

技術的に完璧なものを目指すために、気が遠くなるほどの時間をかけて楽譜を隅々まで読み込み。縦を合わせ、和音を合わせ、ニュアンスを合わせ、バランスを整え…とやっていくと、おそらくこのような演奏になるのだろう。ひしひしと伝わってくるのは、作曲家に対する真摯な態度、ただそれのみである。際立って音色が美しいとか天才的な閃きが感じられるとか、そういったものははっきり言ってしまえば、無い。人間臭さを感じさせながら、人間ができる限界のことにトライしているような感じを受ける。

デザンクロは、デファイエ四重奏団と完全に対称的ながら、稀代の名演と言っても良いだろう。このような演奏に近づいてみたい。グラズノフも、さすが団体名として取り上げるだけある。今でこそ録音が増えてきたが、ここまでカッチリ作ってある演奏は他にあるまい。ラクールは、もともと録音が少ないということもあるが、世界最強と言い切ってしまって良いのではないか。耳なじみの無いパイロンの作品は、いわゆる現代音楽の部類に入るのだが、妙に聴きやすいのが不思議。

残念なことに廃盤。オークションや中古CDショップで見かけたら、速攻ゲットをおすすめする。

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