「こんな風になるまで」は、結局「その2」の末尾に追加して完結させました。興味ある方(なんているのか?)はご覧いただければと思います。
さて今日ご紹介するのも、以前木下直人さんより頂戴したもの。相変わらずの貴重な音源群であり、大変嬉しい。ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の来日公演から、1961年のライヴ、1984年のライヴ、2007年のライヴをそれぞれデジタルデータ化し、CD-Rに収録していただいたものである。
・1961年11月11日(指揮:H.J.ブラン、須摩洋朔)
H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
F.リスト - ハンガリー狂詩曲第2番
須摩洋朔 - 行進曲「大空」
O.レスピーギ - 交響詩「ローマの松」
G.ビゼー - 組曲「アルルの女」第2番より
M.ラヴェル - ボレロ
G.ロッシーニ - 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
・1984年9月30日(指揮:R.ブートリー)
J.S.バッハ - トッカータとフーガニ短調
G.ビゼー - 組曲「アルルの女」より
C.ドビュッシー - 「夜想曲」より"祭"
J.B.リュリ - 国王づき近衛騎兵行進曲
P.I.チャイコフスキー - 幻想序曲「ロミオとジュリエット」
R.ブートリー - ディヴェルティメント
R.シュトラウス - 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
・2007年11月3日(指揮:F.ブーランジェ)
H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
M.ラヴェル - 「ダフニスとクロエ」第2組曲
G.ビゼー - 組曲「カルメン」より
M.ラヴェル - ボレロ
1961年の演奏は、昨年3月にNHK-FMの番組「今日は一日吹奏楽三昧」にて放送されたものだ。長いこと忘れ去られており、木下さんを始めとするギャルド研究家の必死の働きかけにもかかわらず、長い間NHK内部での調査が進行しなかったいわくつきの音源である。木下さんによると、この録音の公開を心待ちにしていた赤松文治氏、須摩洋朔氏ともに聴くことが叶わずに逝かれたということで、何ともやりきれず、残念極まりない話だ。
ブラン楽長、リシャール楽長指揮下の、まさに黄金期のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏。えもいわれぬテュッティの響き、各々の見事なソロ、おまけに録音状態も当時としては驚異的なレベルときたもんだ。素晴らしくないはずがないではないか。半世紀を経て、21世紀にこの演奏が響き渡ることを、我々は感謝の念でもって受け止めなくてはならないだろう。曲間に挟まれるプレゼンターの朝岡さんとゲストの須川さんのやり取りからも、お二人の興奮の様子が伝わってくる。ちなみに、この来日時のサクソフォンセクションのトップは、須川さんが話しているミシェル・ヌオーではなく、未だロームと思われる。
途中、木下さんから番組に向けての投書が読まれるが、木下さんは須摩氏がまだお元気だった頃、氏の自宅を訪問されているのだ。その辺りのことは、忘れざるルシアン・テヴェ掲示板のエントリ81番に詳しい。当該エントリに書かれている「須摩氏の写真」は、木下さんがわざわざCD-Rの表面にプリントしてくださった。感謝の念にたえない。
1984年、2007年の演奏はそれだけ聴けば素晴らしい演奏ではあるものの、さすがに1961年のものと比べてしまうとサウンドの質が良くも悪くもインターナショナル化しているなあ、という感じがする。ちなみに1984年のほうは、ブートリーの「ディヴェルティメント」吹奏楽版がなかなか面白いな。独奏はアンドレ・ブーン氏。
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