先日行われたJacobTV氏のレクチャー内容をざっくりとまとめた。前半・後半・質疑応答の3セクションにわけてご紹介する。ところどころ文章がおかしいところがあるが、あくまで自分のメモ用なので…。
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JacobTV公開レクチャー@東京ワンダーサイト青山
2010/11/28 18:15~
* ペンネームの由来
- ニューヨークの音楽家たちが、フルネームである"Jacob Ter Veldhuis"を言うことができなかった
- そこで頭文字を取って、ペンネームのJacobTVとした
- 作曲家だがメディア・ミックス作品を多く手がけているため、レコード会社もこのペンネームを気に入っている
* オランダ
- ロンドン、パリ、ベルリンに近い
- ロンドンや東京のような一極集中型ではない
- アムステルダム、ロッテルダム、ハーグ、ユトレヒトなどの、中規模都市が連なっている
- 作曲家にとって良い点
o 町と町の距離が近い(せいぜい50km)
o 町ごとにオーケストラ、現代音楽アンサンブルが存在
o jacobTV自身は、ユトレヒトに近い、オランダの中心部に住んでいる
* JacobTVの仕事場
- (パソコン、キーボード、電子ピアノ、数多くのディスプレイ、スピーカーが置かれている近代的な部屋の様子)
- キャリアの初期においては紙と鉛筆で作曲していた
- 作曲家に限らず、今では様々な道具を駆使するのがアーティストのスタイル
* 音楽家として
- 40年前に音楽の仕事を始めた
- 現在59歳
- 今手がけている音楽の種類:
o オーケストラ、室内楽:アムステルダムの出版社から出版されている
o BOOMBOX:BOOMBOX作品については、JacobTV氏のウェブサイトから購入可能
* キャリア初期
♪バンドの即興演奏
- 即興演奏のバンド
o 刑務所で演奏していた:音響が良いし、受刑者も喜んでくれる
o 即興を楽譜として残していったほうが良いと考え、徐々に作曲へと傾倒していった
* 転機となる作品
- ピアノのためのトッカータ(1988年)
- きっかけ
o 南イタリアで、1986年の夏の晩に不思議な音を聞いた
o 鳥(フクロウ)の声。ひとつの音だけがずっと聞こえている(メロディではない)
o ひとつの音だったのでとても退屈だったが、突然面白いことが起きた:鳥一羽一羽が、別の音程・メロディで鳴き始めた→その中にメロディが聴こえてきた
o 当時37歳、自分の音楽的スタイルを模索していた時期であった
o 周りの同僚・先生は難解な作品を作っていた。
- ピアノのためのトッカータ
o 2つの腕だけでなく、鼻までも使わなければいけない作品
o 現代音楽の複雑さに対するパロディでもある
o この作品を弾くピアニストの姿は、フクロウが獲物を捉える姿に重ねている
♪ピアノのためのトッカータ
o あまり強く弾き過ぎると、鼻血が出るのでご注意!
o 現代音楽界で好意的に受け入れられた
o ドイツの現代音楽フェスティバルでは「現代音楽における鼻の使用」について講演をした
* スタイルの確立へ
- 弦楽四重奏曲第3番
o 音の使い方:最低限の単音のみを使っていく
o 副題は、ボブ・ディランの言葉を引用した物
o 冒頭部:チェロ、ヴィオラのグリッサンド
♪弦楽四重奏曲第3番(ハンス・フォン・マーレンの振り付けとともに)
- この作品によって自分のスタイルを確立した、と感じた
* 作品のスタイル
- オランダの音楽学者が、JacobTVの作品を分類した
o Heaven Style: Slow, Ambient, Sprituality, Classical, High Art, East
o Earth Style: Fast, Groove, Reality, Pop, Low Culture, West
- 私にとっては、両方のスタイルに自分を見出していくことが必要
- Low Cultureの音楽の例
o 終身刑の受刑者の声をミックスした作品
♪Grab It!(Electric Kompanyの演奏)
- High Artの音楽の例
o チェロの協奏曲
o 昨年東京シティフィルが日本で演奏した
♪Rainbow Concerto
* 90年代なかば
- 「人の声が音楽的な性質を持っている」という発見
- 視覚芸術分野ではマルセル・デュシャンが既に行っている
- 音楽分野ではサンプラーの発明により可能となった
- 最初のBOOMBOX作品:TATATATATA
o フランスの年老いた退役兵が歌う2,3秒の軍歌
o タイム・ストレッチ、ピッチベンド操作
o チェロとのデュエット
o JacobTVが初演の場で行ったことは、ゲットブラスター(屋外用大音量ラジカセ)の再生ボタンを押す、それだけ
♪TATATATATA
* BOOMBOX Musicの確立へ
- TATATATATAによって、新たな可能性が広がるのを感じた
- 池谷薫監督「ドキュメンタリーの中に登場する人物は、役者となっていく」
o それと重ねて…私にとっては、周りを取り巻く環境すべてが音の素材となっていく
…「後半」に続く。
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