言わずと知れたカルテット・スピリタスのデビュー・アルバム「Scene(BMG BVCC-34168)」。特に昨年の後半から、サクソフォン関連のたくさんの国内盤が発売されていて、なかなか手が回らなかったのだが、ようやく聴くことができた。ああ、そういえば他にも、買ったまま積んであるCDがいくつかあるなあ…。微妙にCDを買い控えているのもあって、買えてすらいないものも何枚かあるし…。
W.A.モーツァルト - "フィガロの結婚"より序曲
G.ガーシュウィン - ラプソディ・イン・ブルー
P.マスカーニ - "カヴァレリア・ルスティカーナ"より間奏曲
N.ロータ - "ロメオとジュリエット"より愛のテーマ
E.モリコーネ - "海上のピアニスト"より3手のための練習曲
S.バーバー - 弦楽のためのアダージョ
A.ピアソラ - カランブレ
G.プッチーニ - 誰も寝てはならぬ
L.シフリン - ミンション・インポッシブル・テーマ
C.チャップリン - "ライム・ライト"よりエターナリー
L.シフリン - "燃えよドラゴン"のテーマ
E.モリコーネ - 愛を奏でて
誰もが聴いたことのあるようなメロディを中心に取り上げて、どの曲も茶目っ気たっぷりに、スマートに歌い上げる。磨き抜かれた音色のためだろうか、サクソフォンが持つ"粗野さ"を、殆どと言っていいほど感じなかった。音色そのものは全く違うけれど、作曲家:演奏家:聴衆という3層のうち、演奏家の層を極限まで薄く取るアプローチは、ハバネラサクソフォン四重奏団の音楽づくりを思い出した。
これってスタジオ録音であるということだが、ずいぶんと原音からエコーやバランスがいじられているような雰囲気。うーん、これはこれでありかもなー。ホール録音では、カルテット・スピリタスが持つ演奏の精密さを捉えきるのは厳しいだろうし、かといって響きをなくしてしまったら、あまりの音場の近さに、耳が飽和してしまったことだろう。
「フィガロの結婚」から、昨年暮れのフェスティバルでも聴いた超々速の演奏。明るい曲想も相まって、ごくごくさりげなく聴こえるけれど、技術レベルは相当なものだ。下手にアマチュアが取り組んだら、とんでもないことになりそう…。速い曲はもちろん、ゆっくりな曲でも音楽が停滞せず、コンパクトにまとまっているため、サクソフォンにありがちな胃もたれはほとんど感じなかった。
「ミッション・インポッシブル」や「燃えよドラゴン」などの激しい曲では、本領発揮!という感じ。ソロとか、凄くかっこいいぞ!笑いどころもきちんと入れてあるあたりは、スピリタスのカラーだよなあ。全体を通して、気軽に買えて気楽に楽しめる、大変良いアルバムだと感じた。今度は、ぜひオリジナル曲も聴いてみたいな。
0 件のコメント:
コメントを投稿