Japanese Saxophone(BIS CD-890)
Claude Delangle, saxophone
Odile Delagle, piano
Jean Geoffroy, percussion
夏田昌和 - West or Evening Song in Autumn
野平一郎 - Arabesque III
棚田文則 - Mysterious Morning III
細川俊夫 - Vertical Time Study II
武満徹 - Distance
平義久 - Pénombres VI
湯浅譲二 - Not I, but the Wind
田中カレン - Night Bird
このアルバムが発売されたのは1998年のことで、発売された当時の驚きはいかほどのものであっただろうか。邦人作曲家の大御所から、当時新進気鋭の若手までの、様々なサクソフォン作品に、真っ向から取り組んで見せたクロード・ドゥラングル教授。新アルバムである「Japanese Love Songs」の原点は、ここにあるといっても良いだろう。当時の驚きは、現在のスタンダードとなり、今では広く演奏される作品ばかりとなった。時代の流れは凄いなあ。
「Japanese Love Songs」を聴く前に、もう一度聴いておこうと思って、引っぱり出してきたのだが、やっぱり良いなあ。サックスのCDで10枚挙げろと言われたら、いや5枚挙げろと言われても、迷いなく入れるだろう。初めて聴いた時は高校2年生だったが、とにかく「Mysterious Morning III」が好きだった。部活のない日は、家でゴロゴロしながら、一日中こればっかり聴いていたこともあったっけ。
(当時と比較すれば)少しは音楽のバックグラウンドが拡がった現在の耳で聴いてみると、アルバムの良さがぐっと浮かび上がってくる。一つ一つの作品が珠玉と言えるものであり、演奏の集中力も相当なものだ。21世紀に入って亡くなってしまった平義久氏の、「Pénombres VI」が持つクリスタルのような透徹した響き…。湯浅作品での、サクソフォンという楽器が本来持つ個性を押しつぶしたような、そしてタイトルがそのまま音になったような不思議な感覚…まるで尺八でも聴いているかのような…等々、挙げていけばキリがない。
どんな理由であれ、とにかく一度聴いてみることをオススメする。というか、まさかコンクールで「Mysterious Morning III」や「Arabesque III」が課題曲となる日がくるとはね…(→アマゾンへのリンク)。
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