2008/10/31

J.Y.フルモー サクソフォンリサイタル(ジャパンツアー2008東京公演)

うおー、すごかった!実はフルモーさんの演奏を生で聴いたのは、これが初めてだった。

【ジャン=イヴ・フルモー サクソフォンリサイタル(ジャパンツアー2008東京公演)】
出演(敬称略):ジャン=イヴ・フルモー(sax.)、羽石道代(pf.)、大森義基、波多江史朗、小森伸二、井上麻子、有村純親、塩安真衣子、栄村正吾、松原孝政、松井宏幸、國末貞仁、福井健太、平賀美樹(以上sax.)
日時:2008年10月31日(金曜)19:00開演
会場:第一生命ホール
プログラム:
Karol Beffa - Obssesions (Japan Premier)
Claude Pascal - Sonatine
Fernande Decruck - Sonate en Ut#
Alfred Desenclos - Prelude, cadence et finale
George Friedrich Handel/J.Y.Fourmeau - Arrivée de la reine de sabbat
Alessandro Marcello/S.Hatae - Concerto
Jérôme Naulais - Atout Sax
Jacques Ibert/J.M.Londeix - Concertino da camera

以下、プログラムの日本語名と、編成・演奏者の覚書き。敬称略。
キャロル・ベッファ - オブセシオン(Aフルモー)
クロード・パスカル - ソナティネ(Aフルモー、Pf羽石)
フェルナンド・デクリュック - ソナタ嬰ハ調(Aフルモー、Pf羽石)
アルフレッド・デザンクロ - 前奏曲、カデンツァと終曲(Aフルモー、Pf羽石)
ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル - サバの女王の登場(S大森、A波多江、T塩安、B有村)
アレッサンドロ・マルチェロ - コンチェルト(S.Soloフルモー、S大森、A波多江、T塩安、B有村)
ジェローム・ノレ - アトゥ・サックス(Sフルモー、A波多江、T大森、T塩安、B有村)
ジャック・イベール - コンチェルティーノ・ダ・カメラ(A.Soloフルモー、Cond大森、Sn塩安、S松原、S松井、A國末、A波多江、A小森、T井上、T福井、B有村、B平賀、Bs栄村)

てなもんで、プログラム的にも渾身の一番という感じであるし、共演者も豪華であるし、もちろん演奏も素晴らしいしで、大満足の演奏会だった。

「オブセシオン」は、無伴奏のアルトサクソフォン作品。ベッファの映画音楽好きが昂じて?生まれたものだということだが、まるでニーノ・ロータの映画音楽エッセンスを一本のサクソフォンに詰め込んで、さらに技巧的なスパイスを存分に振りかけたような…。もの凄い跳躍の間を駆けずり回りながら、音を振り撒いていく作品だった。最初ステージに出てきたときのフルモーさんの顔は、さすがに連続5公演のうち最後の演奏会だけあって、なんだか険しい表情で疲れているようにも見えたのだが、まったくそんなことはなかったのだな(というか、ステージではああいう感じの表情なのですね笑)。4楽章に渡って、ぐーっと引き込まれてしまった。

続く3曲は、ピアニストに羽石道代さんを迎えてのフレンチ・スクールのオーソドックスな3曲。浜松アカデミーにてサクソフォンクラスを担当している縁で、今回の共演が実現したということなのだろうか(意外や意外、羽石さんの演奏は思ったよりも大人しく聴こえた。ピアノのせいかな?)。パスカルの「ソナティネ」から、どこまでもニュートラルで、いくら音量を出しても響きが損なわれない。サクソフォンは跳躍が苦手?そんなことないでしょ?というくらいのもの。とにかく、誰が聴いても美しい音楽であると思うに違いない(しかも、だからといって、決して無個性というわけではないのだ)。サクソフォンを取り巻く要素…音色、テクニック、タンギング、アルティシモ、フレージング等々を、何も犠牲にすることなく、高い次元で結実させているあたりは、全世界を探しても稀であろう。

休憩を挟んだヘンデルは、意外なことにフルモーさんは乗っていなかったのだが、続くマルチェロが独奏+SATB四重奏という編成で、納得。マルチェロは波多江さんの編曲だそうだ。第2楽章、フルモーさんは循環呼吸を使いながら、長大なフレーズを一息で吹ききっていた。しんと静まり返った会場に響く、美しいメロディ…。ノレの「アトゥーサックス」は、ギャルドのサクソフォンセクションにより結成された、パリ五重奏団のために書かれた曲。ぱっと聴くと、現代音楽っぽいが、実はかなりカッコイイ曲なのですよね。せっかくだから、「Sun, Sea, Sand and Sax」あたりやってくれたら、もっと面白かったかも…なんてね。

そして圧巻のイベール。まあ、共演者の豪華さもさることながら、フルモーさんの独奏の貫禄はどエライものでした。11人のサクソフォン奏者を従え、時にその波を乗りこなし、時に猛烈なパワーで引っ張り…。その存在が、とっても大きく見えた。なんというか、世界的な音楽家の一人と呼ぶに相応しい姿を見た気がする。アンコールは、何だか不思議な二曲をピアノとサクソフォンで。レイモン・アレッサンドリーニの曲?かな?二曲目なんて、「イパネマの娘」かと思ったくらいだったのだが。

そうだ、さすが、いろんな方に会うことができました。かなり久しぶりの方、おなじみの方、初めてお会いした方も何人か(PさんやKei.Kさんなど…)、つくばの知り合いも。こういう場でのそんな交流もまた、なかなか楽しかったりするのです。

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