2008/10/07

昭和音楽大学サクソフォーンオーケストラ第19回定期演奏会

知人から案内を頂戴し、聴いてきた。それにしても相模大野は遠かったなあ。つくばからのアクセスだと片道2時間は、さすがにつらいところで、さらに18:30開演の21:00過ぎに終演とは…参った。

【昭和音楽大学サクソフォーンオーケストラ第19回定期演奏会】
出演:昭和音楽大学大学院、音楽学部、音楽学部研究生、短期大学部、短期大学部吹奏楽コース、短期大学部音楽芸術コースの学生
日時:2008年10月6日(月曜)18:30開演
会場:相模大野グリーンホール

そして、注目すべきはプログラム。曲目のリストを見ただけでは、まさかサックスの演奏会だとは思えない。

D.ショスタコーヴィチ/佐々木匠「祝典序曲」(指揮:新井靖志)
I.チャイコフスキー/野原武伸「バレエ組曲『くるみ割り人形』より」(指揮:野原武伸)
A.I.ハチャトゥリアン/宮井佳代、村田淳一「バレエ音楽『ガイーヌ』より」(指揮:大森義基)
P.クレストン/金井宏光「サクソフォン協奏曲」(独奏:福本信太郎、指揮:榮村正吾)
A.ボロディン/土田まゆみ「歌劇『イーゴリ公』よりだったん人の踊り」(指揮:田中靖人)
M.ムソルグスキー/福本信太郎「組曲『展覧会の絵』」(指揮:福本信太郎)

編成は「オーケストラ」の名前に相応しい50人を超える大編成が基本で、冒頭のショスタコーヴィチから分厚い響きが気持ちよかった。想像していたよりもずっと精度が高くて、個人のソロもユニゾンのフレーズも、かなり聴き応えのあるものだった。これはあきらかに、数回のリハーサルで作ってきました、というレベルではない。最終部には、なんと2階席にバンダ(もちろんサックス)を配置するというサプライズも!立体的な音響に、客席が沸いていた。

くるみ割り人形は、比較的小さい編成(20人を下回る程度だっただろうか)。個々がメカニカルに絡み合う部分など、小編成ならではの絶妙なアンサンブルで切り抜けていく。野原氏の指揮・編曲も、良い意味で神経質な感じで、演奏者が一丸となって進んでいくさまが◎。「ガイーヌ」では再び大編成に戻り、おなじみの剣の舞やレスギンガなどを演奏。それほど熱くならずに、スタイリッシュにまとめたあたりは、好みかなあ(笑)。すみません、私自身はどうしてもアルメニア・フィルの演奏がスタンダードなもので。

楽しみにしていたクレストンの「協奏曲」における福本氏のソロは、とにかくお見事!であった。実は福本氏のソロはきちんと聴くのが初めてだったが、あまりの上手さに舌を巻いた。技巧的にも、音楽的にも、こんなに素晴らしいサクソフォン奏者だったとは。それに加えて、魅せるところではツボをしっかり押さえてアピールするし、さらに人間的にも慕われている様子がひしひしと伝わってくるしで、この演奏会で独奏に抜擢されたのにも納得。いやあ、凄かった。そうだ、クレストンの編曲が面白かったことも書いておかなければ:前列に10人(SnSSAATTBBBs)、後列に25人?並んで、前列の10人が主として吹奏楽の独奏パートを奏でる、という趣。第2楽章などはほとんど10重奏で、急速楽章との対比が面白かった。

「だったん人の踊り」は、いかにも田中靖人氏らしい感じで(良い意味で、大味というか何というか)、なんというか指導者と演奏ってピタリ結びついている気もするなあ。ソプラノサックス2nd?が奏でていたイングリッシュホルンの音色が面白かった。ムソルグスキーは、まさに指揮&アレンジャーの福本氏、オケの演奏者ともに渾身の演奏。冒頭、トランペット2本をソプラノサックスに置き換えた「プロムナード」から始まって、…「ビドロ」…「バーバヤーガ」…気がついたら「キエフの大門」まで進んでしまっていた。雄大な終曲を、特大のパイプオルガンのようなサックスオケが奏でるのだ。これまたドキドキものです。

アンコールも演奏されて、終演は21:15。つくばに帰り着いたのが23:45。しかし、無理してでも行った甲斐のある演奏会で良かった。サクソフォーンオーケストラって、今まではフェスティバルなどでしかつまみ食い程度で聴いたことがあるくらいだったが、アレンジ、演奏、指揮が上手くハマったときの演奏効果は、そこらへんの吹奏楽よりもずっと面白いものなのだと感じた。逆に言えば、サクソフォーンオーケストラという不完全な編成のなかで、いかにして"音楽"を創り出すのか、というその過程が面白かったりするのである。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おひさしぶりです。僕も行きましたよー。かなり無理しましたけどw

楽譜が少ない分、編曲者の個性が見えてきて面白いですね。

特に展覧会はアレンジ、指揮、演奏個人的にすべてグッドでした!

kuri さんのコメント...

> しまぶくろさん

どうもお久しぶりです。大変ご無沙汰しておりますが、元気でやっていますか?

そうですか、いらっしゃってましたか!大きな会場で、さすがにお互いわからなかったですね。

確かに、最後に演奏された「展覧会の絵」のアレンジ・演奏の完成度の高さは、全プログラム中でも傑出したものだと感じました。「古城」なんて、冒頭の旋律はバソン2本だからきっとバリトン2本になるんだろうな、と思っていたらその通りで、いい具合に響いてましたね。福本氏の指揮も、とても良かったです。

匿名 さんのコメント...

仕事が忙しくてなかなか音楽活動が…脱サラしようかなww

福本さんは吹奏楽でもリベルテや昭和音大を振ってますからねぇ。

最後にお会いしたのはハバネラの時かな?そのうち一杯やりましょう!

kuri さんのコメント...

> しまぶくろさん

お仕事大変そうですね。私も、ぼちぼち修士論文に本格的に取り掛からないと、という時期です(笑)

おおー、いいですね!ぜひぜひ!また時間見つけて連絡します。