今日は寒かった。田中靖人氏のサロンコンサートに合わせて、13時からの大石将紀氏の特殊奏法クリニックにも伺いたかったのだが、そちらは残念ながら行くことができず、ドルチェ楽器のほうにのみ伺った。サックスブースに立ち寄ると、段ボール箱いっぱいの管打楽器コンクールの課題曲の楽譜が!そういう季節だよなあ。たしか本選はトマジだっけ?サックスブースの向い、リハーサル室の中では、なぎさブラスゾリステンが練習中、うおぉ。
会場は、アマチュアの方、音大生っぽい方、プロの方で大盛況。しかしなんだか、いつもお見かけする方が少ないような。なんだか不思議な感じ。けっこう、プレイヤーによってついている客層って違うものなのだろうか。私自身、そういえばトルヴェールのメンバーの方の独奏をコンサートという形で聴くのは、初めてのような気もする。
【田中靖人サクソフォン・サロンコンサート】
田中靖人(sax)、沼田良子(pf)
ドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京アーティストサロン
14:30開場15:00開演
J.S.バッハ「ソナタBWV1031」
M.ブルッフ「コル・ニドライ」
D.ベダール「幻想曲」
A.デザンクロ「PCF」
~休憩~
G.ガーシュウィン/長生淳「ガーニッシュ・ウィンド」
~アンコール~
G.ビゼー「"アルルの女"より間奏曲」
C.ドビュッシー「ボヘミアの踊り」
C.サン=サーンス「白鳥」
V.モンティ「チャルダッシュ」
ソプラノサクソフォンによるバッハから始まったのだが、まず意外なほどに細かいヴィブラートが印象に残る。最近のフレンチ・スクールの傾向に慣れていると、「うおっ!?」と驚くほど。そういう時代になったのですねえ。独特の芯と、輝きをもった音色は、田中靖人さんのアイデンティティの一つであろう(ところでバッハのピアノがちょっといただけなかった)。
ブルッフの「コル・ニドライ」はすごかったなあ。バリトンてこんなに多彩な音色を持っている楽器なのか。やわらかいと形容されるほどの、触れたら消えてしまいそうな繊細なピアニシモから、情熱的なフォルテ、そして心を引き裂くようなフォルティシモまで。本日の白眉だったかも。テナーで演奏されたドゥニ・ベダール「幻想曲」は、どちらかというとソプラノの演奏が好みな私には、ちょっとおさまりが悪く聴こえてしまったな。その昔、アンナホールで聴いた松雪先生の演奏が忘れられない。
デザンクロなんかは、たとえばカデンツの高速フレーズをものすごい勢いで吹き飛ばしてみるだとか、さすが技巧的に魅せるなあ。田中靖人さんの音色…芯の部分に、やや金属的な要素が含まれているのだが、その部分をベースにしながら、サウンドをめくるめく変化させていくのだ。「ガーニッシュ・ウインド」は、ガーシュウイン作品のメロディをもとにしたコンサート・ピース。いつもの長生節だが、超絶技巧をバッチリとキメまくり、最後はグリッサンドでフィニッシュ。おおー、すごい。
アンコールは、豪華4曲。最近発売されたという教則DVDに収録されているソプラノからバリトンまでの模範演奏を、生で披露。アルト、ソプラノと続き、新井靖志さん(聴きに来ていた)を意識しての「白鳥」から、マシンガンタンギングの「チャルダッシュ」という流れで〆。最後のテンション、ものすごかった(^^)こちらもかなり興奮した。
終演後は、そそくさと会場を後にし、中央線→バスに飛び乗って帰筑→研究室。で、今は研究科発表の資料を作り終えて、ブログを書いているところ…。
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