2008/04/06

木下直人さんから(若き日のロンデックス)

ジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie Londeix氏の実質的なデビュー盤ということになるのだろうか。「Jean-Marie LONDEIX saxophoniste(VENDÔME STV 214)」というLP。ロンデックス氏の公式サイトの記述によると、1960年の出版であることがわかるが、こんなものをもお持ちとは。レーベルはVENDÔMEで、ジャケットからは、あの伝説的な録音技師であるAndre Charlinの名前を読み取ることができる。収録曲目は以下の通り。

D.Milhaud - Scaramouche
P.M.Dubois - Le lievre et la tortue
S.Prokofiev - Visions fugitives
A.Ameller - Jeux de table

前半2曲がオーケストラ(Ville de Dijon音楽院管弦楽団)との共演、後半2曲がピアノとの共演。このうち、デュボワの「ウサギとカメ」は「Portrait(MDG)」でも復刻されていたが、その他は未復刻のはずである。ミヨーの「スカラムーシュ」も、「Portrait」に入っているのはCrest盤からのトランスファー(ピアノとのデュオ)だったからな。こちらは、オーケストラとの共演ヴァージョン。

1932年生まれのロンデックス氏にとって、まだ20代の録音だということになる。サクソフォン界の歴史上のプレイヤーの中でも、かなりの早熟の天才であったと言われるロンデックス氏だが、このVENDÔME盤は、まさにその若々しい勢いとテクニックを感じ取ることができる録音。そういえば、復刻された「Portrait」の中でも最も(演奏が)面白かったレコーディングは、1957年3月2日に録音されたボノーの「ワルツ形式によるカプリス」だったっけ。大御所と呼ばれる方々の若いときの録音を聴くのって、楽しいですな。

「スカラムーシュ」こそ、ややオーケストラに足を引っ張られているかなという感じもするが、「ウサギとカメ」のウサギ部分なんか、まるでミュールを思わせるような鮮やかな演奏で決めるし、プロコフィエフ作品やアメラー作品でのピアノとの共演も素敵だ。ピアニストのGille Mauriceという方は、どういった経歴の持主なのだろうか。若くしてこれだけの演奏をしてしまうロンデックス氏のこと、世界中にその名が知れ渡るのは、まさに時間の問題であったのだろう、という気さえしてくる。

ところで、ロンデックス氏自身のプライヴェート録音の中には、姉のスージー・ロンデックスとの共演でトマジの「バラード」の一部録音(1947年…15歳だ!)というのもあるようで、叶わないだろうとは思いつつも、そんなに若い頃の演奏ならばぜひ聴いてみたい。…と、最後はやや話が逸れてしまったが(笑)。

0 件のコメント: