2008/03/24

木下直人さんから(デファイエQのEMI盤)

ちょっと追いつかないくらいですが(笑)少しずつ紹介を進めていきます。本日は、デファイエ四重奏団のEMI盤を2枚。デファイエQのEMI盤というと、数年前に「サクソフォーンの芸術」や「Le saxophone francais」として復刻されたことが思い出されるが、実は全部の音源が復刻されたというわけではないのである。まずは、原盤のプログラムをご覧頂きたい。

右のジャケット…「Quatuors de saxophones(C 069-14187)」
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
A.デザンクロ - 四重奏曲
J.リヴィエ - グラーヴェとプレスト
F.シュミット - 四重奏曲作品102

左のジャケット…「Quatuors de saxophones(C 069-16369)」
P.M.デュボワ - 四重奏曲
R.シャラン - Jacaserie
P.ヴェローヌ - 半音階ワルツ
P.ヴェローヌ - アンダルシアの騎士
R.クレリス - かくれんぼう
J.フランセ - 小四重奏曲
E.ゴージャック - 子供の夢
P.ヴェローヌ - イルカ
R.プラネル - バーレスク
F.デュクリュック - パヴァーヌ
R.ブートリー - 火花

というわけで、例えば「サクソフォーンの芸術」で復刻されたのは、C 069-14187のみ、また、「Le saxophone francais」で復刻されたのは、C 069-14187とC 069-16369の一部、ということになる。デファイエQのプラネルやクレリスなんて、誰しもが聴きたいはずであるのに、中途半端にしか復刻されていないのはちょっと残念である。

ジャケットは、両方とも輸入盤。C 069-14187のほうは国内発売もされたはずなのだが、敢えて輸入盤をお持ちとは、さすが木下さん!国内盤よりもずっと素敵なデザインで、ジャケットのカラーコピーを手にとって、思わずじっくり眺めてしまった。

ところで、C 069-14187…ピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミットが入った盤は、「サクソフォーンの芸術」として復刻されたCDを持っているが、今までの人生の中で、一番聴いた回数の多いディスクだ。高校のときに、アンコンでデザンクロをバリトンサックスとして取り組むことになり、このCDを購入。最初聴いたときは、「ええっ!?」と、驚くほど自由なアンサンブルにショックを受け、しまいこんでしまったのだが、いつからかひたすらこればかり聴いていた。第3楽章のアレグロ・エネルジコに突入する直前…ジャン・ルデューが他の3人を食って掛かるところを真似してみたり(笑)。とにかく、一番聴いたし、一番影響を受けた音源だった。

そして今回初めて聴いたC 069-16369だが、プラネルやクレリスも良かったのだが、デュクリュック「パヴァーヌ」や、ブートリーの「火花」の面白いこと!「火花」なんて、ジャン・ルデュー四重奏団の演奏で聴いたときはピンとこなかったのだが、この演奏で聴いてみると、何て素敵な小品なんだ、と考えを改めることになった。4人がバラバラに吹いているように聴こえて、要所要所でぴったりキメを作る、というのが、いかにもフレンチ・スクールという感じ。日本人が演奏しても、こうはいかないだろう。

復刻状態も、相変わらず素晴らしい(ありがとうございました)。盤起こしのはずなのに、まるでマスターテープのような音の鮮明さ。驚きだ。LPの溝が透けて見えるようなトランスファーの技術は、さすがだ。

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