本業の研究と就活のエントリーシート書きに忙殺され、アリオンQのリサイタル行けなかったよー(T_T)ティエリー・エスケッシュ「ル・バル」の実演を聴き逃すとは、何たる不覚。この調子だと、大和田門下発表会聴きに行くのも無理かもしれない…ご盛会をお祈りします(私信)。
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グラハム・フィトキン Graham Fitkin氏は、ポスト・ミニマル(ミニマル・ミュージックと比較して、音響素材やリズムの点に関して拡張を行った音楽の総称)の流派に属する作曲家としては、イギリスで最も注目されている作曲家・ピアニストの一人である。複数台のピアノのための作品や、キーボードのための作品などが作品の中心ではあるが、サクソフォンのために手がけた作品も多い。
ブログをご覧の皆様も、比較的音源の入手が容易な「ハードな妖精 Hard Fairy(ssax, 2pf)」「ゲート Gate(ssax, pf)」「スタブ Stub(4sax)」の三つの作品をぜひ聴いてみていただきたい。おそらく、どの作品も日本初演はなされていないが、聴けば一発で虜になること間違いなし!だと思う。そんなわけで、私も以前から彼のサクソフォンの作品を注目しているのだ。
さて、そんなフィトキン氏であるが、Deccaから発売されているThe British Music Collectionというイギリスの作曲家の作品シリーズ(各CD2枚組)にて、若いながらもしっかり取り上げられているのだ。ホルストやウォルトンと言った作曲家たちと並んでカタログに載っているわけで、イギリスを代表する作曲家としての地位を、確立しつつあることが見て取れる。
そのCDを最近amazonのマーケットプレイスで発見し、送料込1900円と安かったこともあって、つい購入してしまったのである。「The British Music Collection - Graham Fitkin(Decca 473 434-2)」というCDで、内容は以下。すべてフィトキンの作によるものである。
Log, Line, Loud: 6 pianos
Hook: 4 marimbas and drums
Mesh: for Icebreaker
Stub: sax quartet
Cud: for John Harle Band
Aract, Fract: 2 pianos
Hard Fairy: S.Sax & 2 pianos
Fervent, Blue: piano solo
Piano Pieces (91, very early 92, early 92, mid 92, late 92, very late 92, 93): piano solo
環境音楽かヒーリング・ミュージックかと思えるようなものも面白く聴けるのだが、時々出現するエッジの効いた作品群のインパクトが、実に強い。すでによく知っているサクソフォンソロ、またはサクソフォン四重奏のための作品演奏は、例えば「Hard Fairy」はソプラノサックスがジョン・ハール、ピアノがジョン・レネハンとグラハム・フィトキン、「Stub」はデルタ・サクソフォン四重奏団という超豪華メンバー。素晴らしくないはずがない。
また、大編成のバンドのための作品の面白さにも、耳を奪われた。ジョン・ハールバンドのために書かれた「Cud」は、まるでナイマン・バンドのような分厚いベースとストリングス、そして鋭い管楽器の響きによって、冒頭から一気にトリップ。14分という時間を感じさせず、面白く聴くことができた。Icebreakerのために書かれた「Mesh」もおもしろいなあ。音色から判断するに、ジャズの人たち?
全体を聴きとおしてみて、サウンドはマイケル・ナイマンに似ているが、すっきりと見通しの良い和声構造や、尺の短いメロディといったところに、フィトキンのオリジナリティを感じ取ることができる。そんなわけで、大変面白いCDなのでありました。かなりの傑作とされる、2台ピアノとオーケストラのための協奏曲「Circuit」や、サクソフォン四重奏とオーケストラのための「Plan B」も聴いてみたいな。
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