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本アルバムで取り上げられているラーションの協奏曲は、往年の名手シーグルト・ラッシャーに捧げられた20分程度の作品。曲中のここぞ、という場所でフラジオ音域が多用されいるためか、至極演奏困難な作品として見向きもされなかった。しかしここ最近の演奏テクニックの向上に伴い、管打楽器コンクールの本選課題曲として使われたり、アドルフ・サックス国際コンクールの本選選択曲として使われるなど、人気を博している。
ラーション「協奏曲」はこの他にいくつか録音は存在するのだが、このヨンソン氏の録音が現状では最高のものではないだろうか。驚くほどしなやかな音色、安定したテクニック。ここまで洗練された音色の持ち主は、なかなかいないのでは?ソロに拍車をかけるようにオーケストラも大変上手で、録音も良い。日本では無名なプレイヤーにもかかわらず、この演奏の質!最初に耳にしたときは、驚きを通り越して唖然とした。
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黎明期のサンジュレ、中期のシュミット、現代のゴトコフスキーと、サクソフォン四重奏の響きの歴史を一気に俯瞰できるのが嬉しい。フランスのレパートリーといえば、世界中の四重奏団が演奏&録音を繰り返しているが、それらと比べても遜色ないのは、驚くべきことだ。
高レベルな四重奏団で、洗練されたサウンドとテクニックが素敵。どの演奏にあっても、余力の抜けたリラックスした響き。聴いていて疲れる演奏というものは世の中には多々あるが、シュミットやゴトコフスキーのような難しい曲でも、楽譜の表面上の再現に終わらない、余裕ある演奏が楽しめる。
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これはとにかくすごい。様々な室内楽形態(無伴奏、声楽・ギター・ピアノとのデュオ、ピアノ三重奏、テープ)によるサクソフォーンのための高難易度作品を、次から次へとこなしてゆくペッテション氏。楽曲がハードなら演奏もハードで、ほとんど極限的な演奏技術を見せ付けられる。ディスクの最後に置かれたフェリエ「Tio Stupor」は、テクニックに次ぐテクニックの連続で、開いた口が塞がらない…。
しかし、ディスク全体はただの技巧の見本市ではない。きちんとした音楽の流れがあり、そして美しい音色が随所にあふれていることが、価値を高めていると思う。確かに難解ではあるけれど、見通しが良くて、ただのワケノワカラナイ現代音楽のようには聴こえない。曲ももちろんだが、ペッテション氏の高度な演奏によるところも大きいのだろう。
以上三枚。北欧のサクソフォン界を代表する(と思われる)アルバムをご紹介した。フランスや日本だけでなく、世界には他にも素晴らしいサックスがあるんだぞ、ということで、ぜひ耳にしていただきたいと思う。まとめかたがベタだなあ…。