ゴルトベルク変奏曲を結構真剣に50分近く聴いた後に、間髪いれずショルティーノ「異教徒の踊り」を聴き始めたら、和声に耳がついていかなくてびっくり。いつもは綺麗に感じる「異教徒」の冒頭部分が、なんだかまるで不協和音のように聴こえたのだ。いや、こんな経験は初めて。
バッハの基本的な和音の連続で耳が洗われるということだろう。そりゃ確かに50分も古典的な和音バランスにどっぷり浸かっていれば、ちょっとでも4度や7度が出てきたり、意表をつく転回形、そして和声進行が出てくれば耳が驚くのは納得できる。
例えばいくら現在の聴衆がドビュッシーの「牧神」を美しく感じるからといって、それまで和声が生まれてから200年間もの間古典的和声進行に慣れてきた当時の聴衆にとっては、よほど不思議な響きに聴こえたことだろう。「牧神」を初めて耳にした瞬間の彼らの驚き、耳が驚きつつもなぜか美しく感じてしまうギャップ…現代にあっては「牧神」にセンセーショナルな響きを感じるという人はあまりいないが、「当時の聴衆が聴いている音楽」「今の聴衆が聴いている音楽」の性質をそれぞれ考えるとつじつまが合う。
「異教徒の踊り」と言えば…(話は変わるが)アンコンではサックス四重奏曲の定番だけれど、アンコン初演したのは誰だったのかなあ。1974年にはEMIから「異教徒」入りのギャルド四重奏団のLPが出ているから、それを聴いた誰かが楽譜を買って、誰かが全国大会まで行って…、ってところかな。そういえば大学一年のときこれ吹いてバリトンでアンコンに出たなあ、懐かしい。
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