2008/08/28

ミニマル・ミュージックへの憧れ(その1)

ミニマル三羽烏と呼ばれるスティーヴ・ライヒ Steve Reich、テリー・ライリー Terry Riley、フィリップ・グラス Philip Glassの音楽は魅力的であるし、「ミニマル・ミュージック」の名付け親であるマイケル・ナイマン Michael Nymanの音楽もまた、魅力的である。幸いなことに、彼らは少なからずサクソフォンを編成に含む作品を書いており、我々は演奏という切り口でも、彼らの音楽に容易に触れることができる(もちろん、彼ら大御所以外にも、ミニマル・ミュージック的な構造を持つ作品を書いている作曲家は多い)。

Steve Reich - New York Counterpoint
3楽章に分かれており、終始一貫した速度で進行するものの、各楽章では異なる3つの場面が表現される。パルスの遠近法、小型素材の優しいリフレイン、そしてジャズからの影響。もともとは12本のクラリネット(11本のマルチトラック・レコーデッド・クラリネットと、1本のソロ・クラリネット)のために書かれた作品であるが、サクソフォン版も存在する。サクソフォン版の演奏時には、8本のレコーデッド・トラックと4本の生楽器による演奏がオーソドックスな演奏スタイル(→YouTubeで観られる)。

参考音源は、Rascher Saxophone Quartetのものが面白いのだが、洗練された響きのDelta Saxophone Quartetのアルバム「Minimal Tendencies(Clarinet Classics CC0024)」を推しておく。イギリスでも老舗のカルテットであるが、メンバーの交代が激しく、最近ではヒュー・ホッパーとのコラボレーションも行っているとか(!)。

Terry Riley - Tread on the Trail
平野公崇さんがCDにレコーディングして以来、国内のサクソフォン界では急速に認知されるようになった感がある。ソニー・ロリンズに献呈されたこの作品は、まさにジャズからの影響をモロに受けた作品である。初出は1965年ということだが、信じられないほどにモダン、かつクールな響きがする。2000年に改訂され、ドローン音とハモリ音が追加された(以前の形で演奏することも可能)。

平野公崇さんの「ミレニアム(Triton)」は、冒頭に即興を交えたテンションの高い演奏。2000年の改訂新版に関しては、平野さんの同輩、サッシャー・アームブリュスターも参加したアルテ・クヮルテット Arte QuartettのCD「Assasin Reverie(New World Record)」から参照可能。

Terry Riley - Olson III
瞠目せよ!これぞ史上最強にして史上最凶&最狂、音楽学校の大合唱団と大オーケストラにライリー自身のソプラノサックスをフィーチャーした、ミニマル・ミュージックの極限形。指揮なし、コンサートマスターなし、歌い手が進行をそれぞれの判断に委ねられたときに、果たしてどんな音響空間が出現するのか。

…すみません。インパクト絶大です。ヘンなもの好きな方にはぜひオススメ。「Olson III(Cortical Foundation)」初めて聴いたときには、驚きと呆れを通り越してドン引きしました。あはは。

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