日本サクソフォーン協会報:サクソフォニスト No.8(1988年4月発刊)より、デビューリサイタル直前のトルヴェール・クヮルテットの紹介文を抜粋。磯田健一郎氏の軽妙な語り口(カタカナ語は80年代ならではか)が楽しい。
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『トルヴェール』という語のイメージをみなさんはどのように感じられるでしょうか?おそらくそのどれとも程遠いように見える(失礼!!)四人の若手奏者によって結成されたのが、このカルテットなのです。
『スガワチック・サウンド』でつとに有名な須川展也氏が、ある日「うーん、カルテットやりたいよー」とダダをこね、彦坂眞一郎、新井靖志、田中靖人といった荒武者を、奥サンをクドいた時よりも熱心にクドき、あるいはオドし、あるいはソデの下を渡して結成したという秘話があります。その結成日は定かではありませんが、初めて四人が顔を合わせて音をだしたのは、私が依頼したスタジオワークでありました。(ギャラ払ったっけ?)
この時録音したのが、私の『アンプロンプチュ』という曲でありまして、コレがマズかったのではないかと、大変心配しておるのであります。来年一月に文化会館小ホールで、このカルテットのリサイタルが開かれる予定ですが、おそらくその時この幻の名曲が聴かれることでしょう。(爆笑!!)
冗談と我田引水はさておき、彼ら四人は「邪道も正道もカンケーない。必要なのは何を表現し、どう楽しむか、だ」という問題意識を持った、先が楽しみなプレイヤー達だと思います。フランス現代の四重奏曲の正面から挑戦しつつ、他ジャンルへの乱入もこだわりなく行い、おざなりの演奏をすることなく、積極的に自ら楽しみ、表現していく。あたりまえのことのようですが、これを本当に理解し実践している人はほとんどいません。この意味でも、このカルテットの誕生に立ち会い、身近にその演奏を聴けるのは、全く幸せだ、と思っております。
とにかく若い四人ですから、火花が飛んだり、プッツンと爆走したりといろいろあると思いますが、それらを通過した時どんな音を出してくれるか?油断のならない連中なのです。
(磯田健一郎・作家・評論家)
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これはだいぶ新しい写真…。
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