この独奏で使われているシルバーの楽器は、何の楽器なのだろう。fbページ上の説明書きには、Revue Musica 1955(Revue Musicaはフランスの音楽雑誌)と書かれている。この情報が合っていると仮定すれば、ミュールが開発に携わったSelmer Mark VIが1954年ローンチであるから、同楽器の可能性が高い。四重奏は、ソプラノ:Marcel Mule、アルト:André Bauchy、テナー:Georges Gourdet、バリトン:Marcel Josseという布陣。
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さて、この独奏の写真の横に書かれている説明書のうち、演奏評に関する部分について、ちょっとだけ訳してみた。
C'est ce qui a fait écrire a Robert Bernard, entre autres: Le saxophone a trouve en Marcel Mule le pendant de Pablo Casals pour le violon celle et de Wanda Landowska pour le clavecin!
ロベール・ベルナール(フランスの音楽評論家、著作:Histoire de la musiqueが有名)は、次のように述べている。「サクソフォンにおけるミュールとは、チェロのパブロ・カザルスか、ハープシコードのワンダ・ランドフスカのようなものだ!」
そして、Musica Memoriaに書かれている、やはりミュールに関する演奏評の部分(こちらのページ)は、同じくReveu Musicaの抜粋だというが、次のように書かれている。
Le journaliste new-yorkais Louis Biancolli n’hésite pas à cette occasion de parler du " Rubinstein du saxophone " . Il faut dire que quelques années auparavant un autre journaliste français de la revue Musica avait lui qualifié Marcel Mule de " Paganini du saxophone " !
"The New Yorker"のジャーナリストLouis Biancolliは、ミュールのことを躊躇いなく「サクソフォンのルービンシュタインだ」と呼ぶ。また、Revue Musica誌上において、ミュールは「サクソフォンのパガニーニだ!」とも評された。
そして、時折リファレンスとしている磯田健一郎「近代・現代フランス音楽入門(ON BOOKS)」の"気まぐれコラム(2)"には、次にように書かれている。
当時のミュールの独奏に対する評を見ると「サクソフォンのルービンシュタインか、カザルスだ!」などと、…
ということで、どうやらこの「近代・現代フランス音楽入門(ON BOOKS)」に載っている情報は、上記The New Yorkerと、Revue Musica誌上の、2つの演奏評が混ざったものの可能性が高い、ということが分かった。
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