すでに、日本を代表する四重奏団の一つとして定着した雲井雅人サックス四重奏団、通称「雲カル」。定期演奏会やCD発売のたびに大きな話題となるが、既に1996年の結成から17年経過しているというから驚きだ。もし、雲カルが存在しなかった、ということを考えた時に、果たして2013年現在の日本のカルテットのレパートリーはいったいどうなっていたかと考えると、ちょっと恐ろしいものがある。実際、彼らが日本初演した作品が、スタンダードなレパートリーに定着してしまう例は多い。かくいう私も、雲カルが開拓したレパートリーにはとてもお世話になっているのだ。「レシテーション・ブック」や、「シャコンヌ」など…。
その雲カルのファーストアルバム。録音は2001年、秩父ミューズパーク音楽堂にて。今眺めても凄い曲目だと思う…。
「マウンテン・ロード(Cafua CACG-0039)」
ヨハン=セバスティアン・バッハ - パルティータ第四番ニ長調 BWV828
ウィリアム・バード - ソールズベリー伯爵のパヴァーヌ
生野裕久 - ミサ・ヴォティーヴァ
ヨハン=セバスティアン・バッハ - われら悩みの極みにありて BWV641
ディヴィッド・マスランカ - マウンテン・ロード
収録された「パルティータ」「ミサ・ヴォティーヴァ」「マウンテン・ロード」は、いずれも第一回の定期演奏会で取り上げた作品である。冒頭のバッハから美しい響きに心を奪われる。個人的には(一番最初に聴いた時は)それまでフレンチな音色が大前提にあったからか、ピンとこなかったが、聴くほどに魅了されていったのをよく覚えている。やはり「マウンテン・ロード」は名曲!トランスコンチネンタル四重奏団の演奏など問題にならない!サクソフォン四重奏のレパートリーの中でも、例外的に高いメッセージ性を備えた作品である。雲カル以上の演奏など想像することすらできない。
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