前回の記事の続き。
第2部までで、学生の小編成のアンサンブルステージが終了。ロビーに出てみると、お知り合いばかり。いろんな方にご挨拶することができた。
第3部、ゲストステージ。フレデリック・ヘムケ博士とオルガンの藤田恭子さんの共演。ステージへと登場したヘムケ氏、一曲目の「Simple Gifts」をさりげなく吹ききった。様々な録音で聴いたあの音、そしてあのヴィブラートだ。セルマー・サクソフォンを鳴らしきったときに聴こえてくる音が、会場を満たした。だが、それほど力んで吹いているようにも見えないのだよな…不思議。2曲目は、Frank Ferkoの「Nebulae」。立ちはだかるオルガンの強奏をさらに上回る響きで耳に届くサクソフォン。技巧的にもかなり難しいはずだが、強烈なオーラを発しながら会場をその音世界に巻き込んでいった。いくら小さな音でも、そしてサイドキーであったとしても、響きのレベルは常に一定である。
良く考えてみたら、私はミュールの直弟子の演奏を生で聴くのは初めてだった!サクソフォンの歴史の重要な一端に触れることができたわけで、この貴重な機会をサクソフォンに志を同じくする皆さんと共有できたことに感謝したい。アンコールは「赤とんぼ」。ただひたすらに美しかった。
演奏が終わって、雲井さんがヘムケ氏に簡単にインタビュー。後ろではサクソフォン・オーケストラへの舞台転換。聴くことができたという感動で、ポヤっとしていたかもしれない。
トリを飾るのは、下地啓二指揮の国立音楽大学のサクソフォン・オーケストラ。柏原卓之氏が構成した「サクソフォン・オーケストラのための"アイリッシュフェアリー組曲"」である。著名なバンドである、ケルティック・ウーマンの楽曲をサクソフォン・オーケストラにために再構成した作品だということだが、とても面白い楽曲で、さらに随所に工夫も見られ、充実した聴後感を得ることができた…というか、最終楽章の最後の音が鳴り響いた瞬間に「良いじゃん!!!」と心のなかで叫んでしまったのだった。ケルト音楽のメロディは問答無用で人の心に響くが、やはりそれも高レベルなアレンジと丁寧な練習・熱演があれば、さらに素晴らしい音楽へと昇華されていくのだなあと感じた瞬間だった。客席の湧きっぷりも凄かったですよ。
国立音楽大学のサックス科演奏会、良いなあ。来年も是非伺いたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿