2010/01/07

ダニエル・デファイエの生徒たち(その19)

[1986]
新作課題曲:
Alain Louvier - Le jeu des sept musiques
1er prix:
Frédéric Grange
Bruno Totaro
Marc Duchene
Emmanuel Héraud
Vibéké Bernstein

アラン・ルヴィエという名前は、耳にしたことがあるのだが、どこで聞いたことがあるのだったかな。管弦楽法の大家であり、この年から1991年まで、パリ国立高等音楽院の院長を務めた。この「Le jeu des sept musiques」という作品は、独奏アルトサクソフォンと3本のSTBサクソフォンのための作品で、1) Free Jazz, 2) Récitatif d'opéra, 3) Constellations, 4) Frileuses, 5) Valse mécanique, 6) Marche militaire, 7) Les 7 musiques, 8) Anathème, 9) Trompettes, 10) Vagues, 11) Valse interrompue, 12) Jericho, 13) Sortie des artistesという、13の楽章に分かれた大曲。音を聴いたことはないのだが、楽章の名前をみるだけで面白そう!

Frédéric Grange氏は、あまり際立った情報を見つけられなかったが、現在でも演奏活動を行っているようだ。なんと、昨年末、12月30日のコンサート案内を発見した。

Bruno Totaro氏は、ドゥラングル教授がソプラノサクソフォン奏者を務めていた伝説のカルテット、Quatuor Adolphe Saxにおいて、テナーサクソフォンを担当していた。同四重奏団は、1981年から1986年まで活動を行い、野平一郎「四重奏曲」、エディソン・デニゾフの「サクソフォンとピアノのための五重奏曲」等を委嘱初演している。この四重奏団が、アルジェリア・ツアーで演奏したデザンクロの演奏(凄いらしい)、聴いてみたいなあ!…っと、話がそれたが、Totaro氏は現在Vichy音楽院教授。

Marc Duchene氏は、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のサクソフォン奏者として有名。パリ五重奏団の活動にも参加しており、比較的新しい時期のCDに、クレジットを発見することができる。以前木下直人さんから頂戴したCDの、演奏データをご覧頂きたい(→こちら)。Emmanuel Héraud氏、前の年に2等賞だったのだが、もう一年残ってきちんと一等賞(プリミエ・プリ)を獲ったのだな。五重奏団、Atout Saxの創始者。

Vibéké Bernstein氏は、探そうとしたらあちらのバーンスタインが多く引っかかってしまい、見つけられなかった。

2 件のコメント:

Thunder さんのコメント...

アラン・ルヴィエのこの作品は、88年のコングレスで「見ました」。
というのはこの曲、舞台の中央のアルト奏者と、それぞれ離れたところにいる3人とで演奏されるのですが、最後は3人が吹きながら中央のアルト奏者のまわりをぐるぐると回り、堪えきれず舞台袖に逃げ出すアルト奏者を3人が追いかけて行って曲が終わる…というパフォーマンスがあるのです。
どんな「音楽」だったかは全然覚えていないのですが。

最近のパリ音の新作試験曲って、これでどうやって審査するんじゃ、と突っ込みたくなるようなものがありますけど、そういうもののハシリだったような気がします。

kuri さんのコメント...

> Thunderさん

貴重なお話、ありがとうございます。おお、だから最後の楽章の名前がSortie des artistesになっているのですね!なんだかこの楽章だけ不思議な名前だったので、納得です。

アルトサクソフォン+ピアノという編成から離れたのは、この年が最初かもしれません。一年前は初めて新作委嘱が途切れていますし、なにか方針の転換があったのでしょうか。それにしても、ラスカトフの「Pas des deux」や、レヴィナスの「Incuver」もそうでしたが、その様子を聴く限り、試験を受ける方に取っては爆弾かもしれませんね。