「ソナタ」が、どちらかというと非常に多面的=ヴァリエーション豊かな性格を持っている(数学、モノローグ、ジャズ…)のに対して、サクソフォン協奏曲は作品全体に響きやベクトルの一貫性を感じることができる。そもそもは、デニゾフがシューベルトへのオマージュとして作曲したのであって、あまり突飛な響きは現れずに、隅々にわたって音楽の大きなうねりを楽しむことができる。
I. Lento - Agitato - Lento
II. Tranquillo
III. Inquieto
IV. Moderato (Variations on a Theme by Schubert)
「第1楽章から第3楽章は、第4楽章を導くために存在する」とデニゾフ自身が語っている。その言葉通り、楽章間の印象は毛筆で一筆書きで描かれたような緩やかなつながりを持ち、第4楽章にすべてが結実する。同じ主題が出現する、とかではないのだが、不思議なものだ。
曲の中核をなす第4楽章、これは、シューベルトの「即興曲変イ長調」の変奏曲形式となっており、それまでの不安定な響きから一転、耳に甘い響きが空間を満たす。最初の主題は、なんとチェレスタによって演奏され、とてもかわいらしい響き。

買ってからも、それほど数多く聴いたわけではないのだが、最近必要があってこのアルバムを聴き返したところ、とにかく「サクソフォン協奏曲」のクオリティの高さにびっくり!前述したように作品としてもいぶし銀のような渋さを持っているし、それに輪をかけて演奏が最高なのだ!このCDでのドゥラングル教授は、そこらへんのサクソフォン奏者の演奏を、鼻先で吹き飛ばすがごとく、鮮やかで洗練されている。もしかしたら「The Solitary Saxophone」よりも、さらに演奏の質は上なのではないか?シンガポール交響楽団との共演による協奏曲集よりも、もしかしたらこっちがオススメできるかも…。Amazonへのリンクは、こちら(→デニゾフ作品集
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