2010/01/06

ダニエル・デファイエの生徒たち(その18)

[1985]
新作課題曲:
なし
1er prix:
Serge Bertocchi
Philippe Lecoq
Stephane Laporte
Bertrand Dubreuil
2eme prix:
Emmanuel Héraud

Harry R.Gee氏の「Saxophone Soloists and Their Music」が出版された年だ。本のなかでは、もちろんこの年度よりあとに活躍しているプレイヤーについては触れられていないわけなのだが、もうこのくらいの世代になってくると、「Saxophone Soloists...」に頼らなくとも情報が集められる奏者ばかりだ。

この年度の"初めて"は2つ。1つめ、新作の課題曲がないのは、おそらくアドルフ・サックス~マルセル・ミュール~ダニエル・デファイエと続いたパリ国立高等音楽院サクソフォン科の歴史の中で、おそらく初めてのことだ。そして2つめ、プリミエ・プリ(一等賞)を輩出し続けた同サクソフォン科から、初めて二等賞が出た年度でもある。

セルジュ・ベルトッキ氏は、アミアン音楽院のサクソフォン科教授。主に現代音楽の分野に力を発揮しているサクソフォン奏者であり、四重奏団XASAXを通して、数多くの新作初演を行っている。近年では、Tubaxの第一人者として活躍し、全編Tubaxで演奏されたCD「Saxophone Extreme」を世に送り出している。ちなみに、日本人ピアニストである浜田ゆかり氏と結婚している。

Philippe Lecoq氏は、トゥールーズ音楽院の教授。ディアステマ四重奏団 Quatuor de saxophones Diastemaのソプラノサクソフォン奏者としても有名(あ、新しいCD出たんだ…)。1986年の結成以来、一度もメンバーを変えずに活動を続けている。伸びやかで質の高い演奏は、ある意味デファイエ四重奏団とハバネラ四重奏団の間を埋める、ミッシング・リング的な存在となっている。NaxosからCDが出ているので、聴いたことのない方は機会があればぜひ聴いていただきたい。

Stephane Laporte氏は、フルモー四重奏団のテナーサクソフォン奏者。早くに亡くなったGuy Demarle氏の後任として、フランス警察音楽隊つながりで同四重奏団に参加。すでに多くのコンサートやレコーディングに参加している。

Betrand Dubreuil氏は、現在ではジャズのプレイヤーとして活躍しているようだ。こんなビデオを見つけた。無声映画に、コンテンポラリーなBGMをつける試み、のようだ。

Emmanuel Héraud氏は、五重奏団Atout Saxの創設者だそうだ。最近人気のサクソフォン五重奏曲、ジェローム・ノレ「Atout Sax」は、この団体のために書かれている。

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