日本サクソフォーン協会の会員に向けて、一年に一度発行される会報(機関紙?)「サクソフォニスト」が、昨日到着した。私が会員になったのは昨年からであるが、「サクソフォニスト」に関してはVo.17から読んでいる。年末のフェスで余剰分が無料配布されており、それを持って帰ってきて手元に置いてあるのだ。
ところで、Vol.17は全34ページであったのが、VOl.18では50ページ、Vol.19では76ページと続き、今回のVol.20は、なんと104ページ!手にとってみても、厚みがぜんぜん違っていて、びっくりだ。さて、内容である。毎年"まにあくー"な感じの記事が多いが、今年はこんな感じ(著者の敬称略)。
石渡悠史「巻頭文」
:ぼちぼちサクソフォーン・コングレスを日本に再び招聘したいのではないかな、という気持ちが感じ取れる。
安井寛絵「仏蘭西留学日記2(最新CD・書籍の紹介、ジェローム・ララン氏との対談含む)」
:現在ブール=ラ=レンヌ国立音楽院に在学中の安井寛絵さんの、現地での生活の様子。フランスでの音楽学生、演奏家の日常って興味のあるところだが、なかなか情報としては入ってきづらいため、こういった形で読めるのは楽しい。ジェローム・ララン氏へのインタビューも、実に面白い!ドビュッシーの編曲秘話が、まとまった形で読める。
宗貞啓二「2nd International Jean-Marie Londeix Saxophone Competition」
:ロンデックスコンクールの審査員をしていた宗貞氏の回想録。コンクールの最中は見えてこなかった裏話がふんだんに語られており、とても面白いっす。
伊藤あさぎ「第2回ジャン=マリ・ロンデックス国際サクソフォンコンクール日記」
:こちらはコンクールへの参加者、セミファイナリストとなった、伊藤あさぎさんの参加報告。宗貞氏の回想録と対応させながら読むと、面白さが倍増。ドワジー氏の一次予選の描写で、不覚にも(?)笑った。
佐藤淳一「研究論文:ルチアーノ・ベリオからサクソフォンへの注釈 - 或いは二つのセクエンツァから見るベリオとサクソフォーン」
:以前本ブログでも紹介したもの。佐藤淳一さんが洗足の大学院を卒業されるときに著した修士論文。レイアウトを始めとして一部変更が加えられているものの、内容的にはほぼ原本そのままであり、ベリオのに作品に突っ込んだ内容は、全てのサクソフォン奏者必見!である。
拙著「サクソフォン奏者:シガード・ラッシャーとその周辺の作品」
:今回の会報に、恐れ多くも記事を投稿させていただいた。編集会議で採択してくださった委員の皆様に、感謝申し上げる次第。内容は、「ラッシャーのバイオグラフィ」「ダール、ベンソン、笹森建英氏らとラッシャーの関わり」「年代順献呈作品リスト」「ラッシャーの録音」といったところになる。多くがブログ上に書いた記事を校閲して焼き直したものだが、バイオグラフィそのほかを書き下ろすなど、新しい部分も30%~40%ほどある。特に、日本人の作曲家である笹森建英氏が、ラッシャーに「"荒城の月"変奏曲」を献呈した経緯(お手紙でその様子を伺った)は、1961年の作曲以来、初出となる情報である。
有村純親「サクソフォーン特殊奏法講座(後編)」
:昨年の続き。循環呼吸、ダブルタンギング、微分音、重音と、それらのテクニックを使用する際に参照すべき資料のリスト。新しく知ったも資料もあった。
大栗司麻「『B→C』を終えて、そしてこれから… ~大石将紀インタヴュー~」
:「B→C」の直後にインタビューされたのだな。大石氏の、これまでの留学の様子、そしてこれからのビジョンについて、フランス留学仲間でもある大栗さんがインタビュー。「B→C」の作品の裏話や、パリ国立高等音楽院の様子などは、大変興味あるところであった。
宮崎真一「サクソフォンファミリーの隠された兄弟と新しい仲間 ~Cメロディサックスとソプリロ~」
:楽器研究家の宮崎氏による、Cメロディサックス、ソプリロサックスについてのエッセイ。今まで、これらのサクソフォンファミリーに関する資料は英語圏には氾濫していたが、日本人の感覚でかかれた記事を日本語で読めるのは貴重である。
ゆかり・ベルトッキ・浜田「これまでの音楽人生を振り返って」
:ご存知、サクソフォン奏者のセルジュ・ベルトッキ Serge Bertocchi氏の奥様による、エッセイ。ベルトッキ氏が日本人と結婚していたとは知らなかった。
有村純親「第27回サクソフォーンフェスティバル報告」
:おおー、Tsukuba Saxophone Quartetの写真が(小さいけど)載ってる!嬉しいなー。
上田卓「即興講座 坂田明 vs 平野公崇」
:昨年暮れのフェスで行われたあの衝撃的な対談を、ディクテーションしたもの。会場にいた人の誰もが、またあの対談を聞きたいとおもっただろうが、こういった形で再びあの内容を知ることができるのが嬉しい!
宮崎真一「サクソフォーンの源流を訪ねて 雲井雅人氏インタビュー」
:こちらも昨年暮れのフェスの関連。雲井氏が、所有するヴィンテージ楽器について、存分に語っている。単なるコレクションではなく、演奏できる楽器として整備を行い、その魅力を引き出しているところに雲井氏の凄さがある。現代のサクソフォンに対するメッセージも含めて、必見。
服部吉之「音大生によるサクソフォーン四重奏の夕べ2008報告」
:そういえば、聴きに行ったっけなあ。再度プログラムを見ながら、その時のことを思い出した。うん、がんばろ。
服部吉之「第5回サクソフォーン新人演奏会報告」
:そういえば、こっちも聴きに行きたいんだよなー。いつも何かしら予定が入って聴きにいけないのだが。
井上有記「岡山から音楽文化の発信を」
:岡山県にある、くらしき作陽大学のサクソフォン科の成り立ちや、チボリ・サクソフォーンフェスティバルについて。冨岡和男氏を軸として発展した岡山のサクソフォンの現在。
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