「Tread on the Trail」が入ったCDって何があったっけ、と引っ張り出してきたのだが、聴くのは久々だ。平野公崇氏のデビューアルバム「Millennium(Triton DICC-28004)」である。共演に、ドゥラングル教授クラスで平野氏と同期であったサッシャー・アームブリュスター Sascha Armbruster氏と大石将紀氏、そのほか大城正司、大和田雅洋らを迎えている。大石さんの参加に関しては、先日到着した協会報に大石さんのインタビューがあるが、平野氏が帰国した直後、大石さんは平野氏に師事していたようだから、そのあたりで共演が実現したということになるだろうか。
この2008年という時代に聴いても、異様なアルバムだ。まともに見えるのは、せいぜいクリスチャン・ローバの「エチュード」くらいか?
磯田健一郎「Millennium」
Christian Lauba「Balafon」
Steve Reich「Reed Phase」
Christian Lauba「Tãji」
磯田健一郎「Another Millennium」
Duncan Youngerman「Ice Man」
Christian Lauba「Jungle」
Duncan Youngerman「Dragon Man」
Christian Lauba「Vir」
Terry Riley「Tread on the Trail」
磯田健一郎「Millennium(reprise)」
このアルバムが発売された当時の、聴衆の衝撃はいかほどのものであっただろうか。彗星のごとく帰国し、アルバム「Millennium」の発売、B→Cへの出演、そのほかリサイタルなど、立て続けにアグレッシヴな活動を展開していた平野氏。現在でこそ珍しくなくなったローバの無伴奏エチュードやフリーの即興だが、そういった活動を広く聴衆に披露することができたのは、ある種の自信が成せる技だったのだろうか。
一曲挙げるとしたら、タイトル曲「Millennium」のアナザー・ヴァージョン。一番目のトラックのテーマを元にしたサッシャーとのデュオによる即興で、もとのテーマを早期させるかどうかと云われれば全くそんなことは無いのだが、この「Tãji」と「Ice Man」を接続するのは、こういう音楽以外考えられない。
このアルバムに対する疑問。Duncan Youngermanとは、何者なのか?ギター弾きのようだが、それ以上の情報が出てこないのだ。「Stan the Man」とはどういう曲なのか?どこまでが即興なのか。「Another Millennium」は、どのように構成されたのか?そんな謎もまた、このアルバムを魅力的にするのに一役買っているかもしれない…というのは、考えすぎだろうか。
たしか廃盤となって久しいが、いちおうamazonで買えるようだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿