寒い日が続いて、若干体調を崩し気味。このまま急降下でこじらすかと思いきや、なんとか踏みとどまっている。氷雨が舞う中、錦糸町へ。
【Aria Saxophone Quartet Recital】
出演:Aria Saxophone Quartet
日時:2015年1月22日(木曜)19:00開演
会場:すみだトリフォニーホール・小ホール
プログラム:
斎藤高順「サクソフォン四重奏曲」
仲沼祐太「虹に向かって」
西田直嗣「泣いた赤鬼」
武満徹「めぐり逢い」「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」「翼」「死んだ男の残したものは」
上野耕路「N.R.の肖像」
コンセプトがはっきりしている、という四重奏の演奏会は、なかなかないと思う。そういった意味においても、価値ある演奏会であった。こういう方向性は、私自身はとても好きだ。
音色も良いし(各楽器の音色が良く溶け合っている)、技術も高い。齋藤作品は、シンプルな音運びだけに各パートの一音一音や、和声が露わになるが、隅々まできっちり作り込んであり、感心してしまった。日本のサクソフォンの黎明期に、齋藤氏がああでもないこうでもないと(おそらく)思案しながら組み立てていった木細工のような楽曲が、60年以上の時を経て現代に再構築される、という、当たり前ながら稀な機会を体感できたことに感謝だ。
新作は、わかりやすい和音を使った楽曲。解説文そのままの爽やかな印象のまま、曲が駆け抜けていった。「泣いた赤鬼」は、初めて耳にする作品だが、ブレスノイズ、重音、ベンド、声などの特殊奏法満載の楽曲。うーん、ちょっと自分には難しい作品だったか(;´Д`)
後半は武満徹の作品から。私自身も武満徹の合唱曲や歌曲は大好きで、とは言ってもあまり普段から定常的に触れに行く機会はないものだから、こうしたコンサートで取り上げられるのは実に嬉しいことだ。アリアという団体名が示す通り、「うた」がとても似合う。アレンジは、各曲で各楽器をフィーチャーするような書き方がなされており、プレイヤーごとの歌心じっくりと堪能することができた。こうして取り出してみるとそれぞれの個性が見えるのだが、カルテットとして合わせているとお互い似てくるのだから、カルテットは面白い。
「N.R.の肖像」は、最後に置かれた曲だけあって、本日の白眉であった。そもそも、この曲が大好きな私にとって、実演で接する、という時点で冷静にはコメントできない。あまりに好きすぎて、自分自身で吹いたこともある程なのだ。アリアSQの演奏は、終始ダイナミックで、ただしややコントロールされており、ともすれば収拾がつかなくなってしまうこの曲を、非常に良くまとめていた。第3楽章の危うい感じ(演奏が危ういわけではない、決して笑)は、聴いていて実にわくわくしたなあ。
アンコールに、武満徹「小さな空」。このメンバーの演奏で、デザンクロとかリヴィエとか、コテッコテのフレンチ・アカデミズムの作品を聴いてみたい!と思うのだった。
今回プログラム冊子に曲目解説を提供した。後日こちらでも公開する。
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