聴いたのは二週間も前になるが、ずっと感想が先送りになっていた。
サクソフォンの中島君にご案内いただいて伺ったのだが、非常に面白いコンサートであった。二回に分けて紹介する。
【Rising Artists Concert Vol.5~コンクールを制した新星たち~】
出演:マルコ・トプチー(ギター)、田中香織(クラリネット)、荒木奏美(オーボエ)、中島諒(サクソフォン)、仲地朋子、宇根美沙恵、秋山友貴(以上ピアノ)
日時:2014年12月11日(木)19:00開演
会場:ヤマハホール
料金:2000円
プログラム:
マルコ・トプチー(ギター)
F.タレガ/ヴェニスの謝肉祭
F.タレガ/アルハンブラの思い出
M.カステルヌオーヴォ=テデスコ/悪魔の奇想曲 Op.85
田中香織(クラリネット)
J.フランセ/主題と変奏
J.ヴィトマン/5つの断章
C.ドビュッシー/クラリネットのための第1狂詩曲
荒木奏美(オーボエ)
G.Ph.テレマン/無伴奏フルートのための12の幻想曲より
R.シューマン/アダージョとアレグロ Op.70
J.W.カリヴォダ/オーボエとピアノのためのサロンの小品 Op.228
中島 諒(サクソフォン)
C.ローバ/KABUKI
野平一郎/アラベスク Ⅲ
A.デザンクロ/前奏曲、カデンツァと終曲
演奏会は"新星"とのタイトルながら、前半の2名はもはや垢ぬけて独奏者としての貫録を湛えている演奏家だなと感じた。
ギターのトプチー氏…クラシックギターのことはあまり良くわからないのだが、見事なテクニックやフレージング感、なによりも音色の絶妙な変化に感動した。音量は控えめだが、この規模のホールで耳をそばだてて聴く、というのも、逆に集中力を助長するような効果もあるのかなと思った。テデスコの「悪魔の奇想曲」は、とんでもない曲で、聞くところによればパガニーニを讃えた作品なのだとか。随所に現れる技巧フレーズをばったばったと切りさばいていく様子がすさまじかった。
田中香織氏は、もしかしたらこの演奏会の白眉だったかもしれない。2009年第78回日本音楽コンクール1位受賞とは、またすごい。国立音楽大学を経てバーゼル音楽院へ渡り、長きにわたってスイスで活躍していた奏者。2014年より活動拠点を日本に移したそうだ。フランセの、人を喰ったような難曲、そしてピアノの内部奏法や現代奏法を駆使するヴィトマンの作品は、実に素晴らしく、こんな奏者がいるのか…!という驚きを隠せなかった。ドビュッシーは意外とふつうに聴こえたのだが、もしかしたらヴィトマンの演奏でピアノの調律が狂っていたせいなのか…(笑)。田中氏の演奏は、ぜひまた通しのリサイタルで聴いてみたいと思うのだった。
(続く)
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