柏での、エビちゃんこと海老原恭平さんのリサイタル。つくばカピオ、赤坂のカーサクラシカなど、何度か自主演奏会を聴いているが、取り上げられるプログラム、そして自由闊達な演奏が魅力的で、ついつい足を運んでしまうのだ。今回も、期待に違わぬ、実に楽しい時間だった!
【海老原恭平サクソフォンリサイタル~Rhythmic Melody~】
出演:海老原恭平(sax)、田代あかり(pf)、田村拓也(perc)
日時:2014年11月29日 19:15開演
会場:アミュゼ柏クリスタルホール
プログラム:
Russell Peterson - Duo for Saxophone and Percussion
Pedro Iturralde - Suite hellenique
→Pia-no-jaC← - 組曲『 』
JacobTV - Garden of Love
旭井翔一 - Jazz SonataよりAzure Skies, A small adventure in the summer
Graham Fitkin - Hard Fairy
開演の少し前にチラシ挟み込みに伺おうと、柏駅に到着し東口を出ると、地元候補の応援に安倍晋三首相が来ており、駅前広場が大混雑。びっくりした。
まずはプログラムの特異性(笑)について少々述べる。おそらく海老原さんの趣味による選曲なのだと思うが、この魅力的な内容!コンセプトである"Rhythmic Melody"とは、良く言ったものだ。クラシックでありながら、ポピュラーミュージックや、ジャズからの影響を受けた作品群は、私も大好きなものだ。ラッセル・ピーターソンは、アメリカのサクソフォン奏者・作曲家。サクソフォン奏者観点でとにかく「カッコいい」曲をばんばん世に送り出しており、最近ではサクソフォン、フルート、ピアノのための「トリオ」が流行っている。サクソフォンとパーカッションの「デュオ」は、Cajónを使うなどバラエティに富んだ楽章構成が魅力だ。JacobTVの「Garden of Love」は、言わずと知れた名曲で、現代風のサウンドの中に、ウィリアム・ブレイクの詩が紛れ込んでいるという異色さが楽しい。もっともっと皆が演奏するようになっても良い曲!こういった場所で、高校生くらいの観客のみなさんが多いなかで聴かせてしまうのも、また面白い。
旭井さんの「Jazz Sonata」は、海老原さんの委嘱作品なのだが、徐々に取り上げるプレイヤーが多くなりつつあり、これからさらに流行るのではと思う。松下洋さん、最近では大城正司先生も取り上げている。そして「Hard Fairy」!作曲家のグラハム・フィトキンは、イギリス出身のキーボード奏者だが、物凄く厚い和音を武器に独特の作品を世に送り出している。ソプラノサクソフォンと2台ピアノのための作品で、とにかくカッコいい作品。編成の特殊性から演奏機会は少ないが、今回はなんとマリンバで2台目のピアノを担当するというアイディアが面白かった。
ということで、プログラミングの時点で大興奮してしまい、あまり冷静に聴けていないのだが、どの演奏も強く印象に残った。ピーターソン作品は、ソプラノの、最初の空気を切り裂くようなストレートな音で一気にアピールし、Cajónとのアンサンブルも上々で、のっけから観客を惹きつけた。パーカッションの田村さんは、つくばカピオではマリンバしか演奏していなかったのだが、皮モノもこんなに自在に操るとは…と驚いた。イトゥラルデでは、第2楽章でブイブイ即興を取り…海老原さんはソプラノが本当に似合う。ジャズが大好き(なのだとおもう)なあかりさんのピアノも、イトゥラルデ新解釈、という雰囲気が楽しかった。そして、まさかの→Pia-no-jaC←の「組曲『 』」を、ピアノとパーカッションで。まさかここで聴けるとは(笑)
後半は「Garden of Love」から。スピーカーの遠さもあり、さすがにアンサンブルには難儀している様子が窺えたが、曲の特殊性はきっちりと観客に伝わっていたと思う。旭井さんの「Jazz Sonata」は、初演以来聴いたが、時間を経たこともあってか、充実した演奏となっていた。やはり名曲ですね。「Jazz」を謳っているが、美しく、なんだか「Lessons of the Sky」を思い出してしまう。最後の「Hard Fairy」は、メイン曲だけあってとにかく演奏はこの日の白眉、であった。原曲を良く知っているせいで、意外と面白い効果が現れるところが多いことに気づき、なんだかこの曲の新たな側面を見る思いだった。
アンコールは、旭井さん作の小品と、モンティの「チャルダーシュ」。いやはや、楽しい時間であった。打ち上げも参加させていたいた(ありがとうございました)。
次はどんな企画で魅せてくれるのか、楽しみである。
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