少し前になるが、アメリカの著名な作曲家であるジョン・アダムズ John Adams氏の作品集として、「シティ・ノワール City Noir」と、「サクソフォン協奏曲 Saxophone Concerto」を収めたCDがNonesuchレーベルより発売となった。
以前より「シティ・ノワール」と「サクソフォン協奏曲」についてはこのブログで頻繁に取り上げているが、ついにセッション録音が発売となったということで感慨深い。特に「シティ・ノワール」については、サクソフォンが管弦楽作品に使われた例として、その初演に携わった名手:ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏の名前とともにサクソフォン史上に記録されるべき充実した内容の作品であると思っている。
Nonesuch 541356-2
St.Louis Symphony
David Robertson, conductor
Timothy McAllister, saxophone
John Adams - City Noir
John Adams - Saxophone Concerto
「シティ・ノワール」は、想像上の映画のための音楽である。アダムズが若い頃から触れてきた、フィルム・ノワール(1940~50年代に多く作られたアメリカ映画。犯罪サスペンスや探偵物が多い)のための音楽…この音楽に、アダムズは魅了されつつも不満を感じていたとのことだ。まさに映画の一場面を想起させるような見事な音楽に魅了されたが、これらの音楽はほんの1、2分の尺しか持たないことにフラストレーションがあったとのこと。それにアダムズなりの落とし前をつける形で作曲された作品ということになるのだろう。
ロサンゼルス・フィルハーモニックへのグスターヴォ・ドゥダメル氏の音楽監督就任記念演奏会にて世界初演された。そのライヴ映像がDVDにてリリースされたことは有名だ。私も所持しているが、本当に素晴らしい内容である。
そして今回のセントルイス交響楽団の演奏も、アンサンブルの精度を上げつつ、ダイナミックさや熱さもロス・フィルの演奏に肉薄しようとする気概が感じられ、多くのサクソフォン奏者にとって手元においておくべき内容だと感じた。各ソロはロス・フィルのほうが好みかなあ(あくまで、好み)。もちろん、マカリスター氏のサクソフォンも最高の仕事をしている。「サクソフォン協奏曲」も、なかなの熱演だ。実は、こちらは凄い作品だとは思うのだが、まだ作品として咀嚼できておらず、突っ込んだコメントをすることができない。だれか解説してくれー。
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ジャケット裏面。なんと素敵なデザインだろう!!
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