素敵なアルバム。不思議な温度感、しかし底知れぬカッコ良さ。上野耕路氏の面目躍如…である!
音楽がこれだけ氾濫する世の中で、ある曲を聴いて「あっ、これはあの作曲家の作品だ!」とか「これはあのプレイヤーが演奏しているんだ!」とわかることが、どれだけあるだろう。私の知る限りそれはとても少数で、だがしかし最も重要なことの一つではなかろうかと思う。
「Sirius B(Music Marketing Research MMRC-001)」
All tracks are composed by Koji Ueno
Canis Major
Hypno-masses
Control Games
Sirius B
Il Pacifico
Interlude
Clockwork Seagull
Archaeopteryx and Compsognathus
Oil Barons and Cattle Dukes
Tomorrow will be brighter than today
Groucho Marx's Economics
上野耕路(pf. & Key.)、赤木りえ(fl.)、佐々木理絵(fl)、秋山かえで(cl.)、曽根美紀(asax.)、小池裕美(tsax.)、矢島恵理子(bsax.)、田澤麻美(tp.)、国木伸光(tub.)、東佳樹(mrb.)、中島オバヲ(perc.)、杉野寿之(dr.)、久保田信吾(vo.)、清水万耶子(Sop.)、真部裕(vn.)、多井智紀(vc.)、谷嶋ちから(bs.)
前作「Polystyle」も愛聴盤であるが、この「Sirius B」もそれに匹敵する個人的ヒット。自主制作盤とのことで、相当の気合いが入ったアルバムだ。とにかく曲が良い。グロテスクでいて、美しく、カッコ良い。管楽器アンサンブルのサウンドを前面に押し出した、紛れもなく上野耕路氏の音楽。8/9に発売されたばかりで、Amazonでも取り扱っている(こちら→SIRIUS B)。上野耕路氏の音楽については、「たらこ・たらこ・たらこ」が超メジャーだが、それだけでは済まされない才能を、ぜひいろんなひとに聴いていただきたい。MP3アルバムストアでは試聴もできるので、聴いて「これは!」と思った方はぜひ。
演奏者のクレジットを眺めると、クラシックと言うよりもジャズ方面のプレイヤーが多いですね。あっ、曽根美紀さん(雲井雅人氏の奥様)が参加されている!前回アルバムは、全体的な音作りのコンセプトとしてオールドスタイルの雰囲気を湛えていたが、今回はもう少しモダンなサウンド。演奏はさらにソフィスティケイトされ、緻密なアンサンブルが耳に心地良い。久保田信吾氏のヴォーカルは存在感ならびに雰囲気にベストマッチといった風で、さすが8 1/2時代からの協業によって、久保田氏のヴォーカルを楽曲中でどう配置すべきか、というセオリーに長けているとも言えるだろう。
各トラックの意味もなんだか面白く、そんなところからもこだわりが感じられる。アルバムタイトルが「シリウスB(おおいぬ座の連星シリウスを構成する白色矮星)」ならば、最初のトラックタイトルは「Canis Major(おおいぬ座)」、とう具合…。「Clockwork Seagull(時計仕掛けのカモメ)」とか「Archaeopteryx and Compsognathus(始祖鳥と小型肉食恐竜)」なんてのもいいなあ。
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