2013/07/25

"現代の音楽表現"ゼミ 前期コンサート

【演奏会実習大石ゼミ 現代の音楽表現 前期コンサート】
出演:戸崎可梨、富田真以子(perc)、菊池由里子(三味線)、中塚恭輔(gt)、佐藤正太、野原弘貴、本藤美咲、大石将紀(sax)、市橋佐和、小澤一貴、佐々木遼太郎(acousumonium)、岩井陽典、木村恵理香(comp)、清水裕貴(sound)、大石将紀(指導)
日時:2013年7月24日(水曜)18:45開演
会場:洗足学園音楽大学1501講義室
プログラム:
スティーブ・ライヒ「木片の音楽」
市橋佐和「縫う、ごくり。這う、泳ぐ」
Gino Favotti「"La Petite conversation, Sortie de la foret" from "Elektrik Forest"」
Gino Favotti「Electro Dance」
岩井陽典「色即是空のリベルシンパシー(新曲初演)」
木村恵理香「alpha-phonic(新曲初演)」
一柳慧「プラティヤハラ・イベント」

大石将紀氏が今年から洗足学園音楽大学にて開講している「現代作品の演奏ゼミ」とのこと。少し前にtfm氏がブログで取り上げていたのを読んで、興味が沸いたのだった。アコースティックな音楽のみならず映像やアクション、エレクトロニクス、照明なども交えたとても面白い内容だった。演奏会場は、前方が鏡張りの広い教室。なんだか見覚えがあるなあと思ったら、協会コンクールの音出し控え室だった(笑)。天井は低いが、心地よく響く空間。その教室の中に、スピーカー、コンソール、譜面台、パーカッション、プロジェクション、ピアノなどがところ狭しと並ぶ。椅子はいわゆる"学校の椅子"で、なんだか新鮮だ(笑)

ライヒは大石氏も交えての全員での演奏(パートごとに色付きの衣装)。これだけ有名な曲であるにも関わらず実演を聴くのは初めてだったのだが、世界中で繰り返し演奏されている理由が判る気がした。録音で聴いてもわからない面白さが、ライヴでの演奏からは感じられる。その場に居ながらにして聴くことの重要性を、今更ながら思い知らされた気分だった。

次はテープ音楽の演奏。市橋佐和さんの「縫う、ごくり。這う、泳ぐ」。ミュージック・コンクレートの作品で、YouTubeの洗足学園音楽大学の公式アカウントにもアップされていたので、ご興味ある方はぜひ。定位感のあるスピーカーかヘッドフォンで聴くとさらにおもしろいと思う。

続いて演奏されたGino Favottiの作品は、Motusレーベルから出版されているアルバム「Elektrik Forest(Motus 398001)」からの2曲抜粋。ハウスからプログレッシブのようなとてもカッコイイ音楽で、後半の「Electro Dance」こそやや陳腐な感じもしたが、前半の作品はなかなかお気に入り。

新作の一つ目は、混合の8重奏?での岩井氏の作品。ドローン×ミニマルのような表現の上に、即興が覆いかぶさるなんとも形容しがたい作品だが、これも不思議と楽しい。かなり演奏者にとって自由な表現を(即興という意味以外でも)許しているような気がして、再演の時にどのような演奏になるのかが気になってしまった。木村氏の作品はパーカッション・デュオの上に、サクソフォン・デュオ(ソプラノとアルト)の特殊奏法をふんだんに利用し、さらに映像とコラボレーションさせた作品。演奏を担当したサクソフォン奏者の巧さには舌を巻いたが、これもぜひどこかで再演を期待したいところ(映像がなくてもちゃんと作品として成立しそうだ)。

最後は一柳慧作品。プラティヤハラとはヨガの用語らしいのだが、詳しいところはわからず。楽譜上の指示としては深呼吸のたびにS(=Single、単音を出す)、C(=Chord、和音を出す)、A(=Action、何らかのアクションを起こす)というような内容となっているそうで、出演者ほぼ全員での20分にわたる(やや管理された)即興という演奏だったが、これが実に楽しかった!オープンかつアグレッシブな表現が幾重にも飛び出し、また、これだけの多人数にも関わらず、(いや、多人数だからこそ?)はっとさせられる瞬間がいくつもあった。いい機会に臨席できたものだなあ。アクションは会場となった教室内で思いつく限りの行動が起こり、会場の現状復帰はなかなか難しいのではないかと(笑)。

今後、戸定邸でのコンサート(11/23)や後期のコンサートも控えているとのこと。どのような機会となるのか、もし予定が合えばまた聴いてみたいものだ。

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