来週に迫った佐藤淳一博士のリサイタルのご案内。非常に興味深い内容である。
下記の案内文にも書いてあるが「フランス的なもの」について紐解こうとする、非常に興味深いプログラムとなっている。例えば、とあるサクソフォン作品を聴いた時に、「あ、これはフレンチ・アカデミズムの作品だ」と直感的に思うことが多々ある。特殊奏法が使われていても、エレクトロニクス作品であったとしても、フォーレの時代からドビュッシーを経て続く伝統的なフレンチ・アカデミズムの潮流…根底に流れる、ある種の美意識を感じるのである。それが具体的に何であるのか、その解決のための糸口を掴むことができるのではないかと期待している。
それから、超個人的な感覚では、ジョドロフスキの「Mixtion」を聴けることがとても嬉しい。テナーサクソフォンとエレクトロニクスという編成の作品中、最高の名曲である。
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来年の1月19日に奏楽堂デビュー・コンサート・シリーズに出演させて頂けるとことになりました。このシリーズは東京芸術大学や大学院を卒業した年に大学から推薦をもらって演奏する場を頂けるものです。来年の4月からは旧奏楽堂は耐震構造の改修に伴い休館となるそうなので、まだ旧奏楽堂に来たことがない方や休館する前にまた来ておきたい方は是非とも日本最古の木造の洋式音楽ホールをご堪能下さい。
今回のリサイタルのコンセプトはフランス音楽の「内面の響き」です。ブーレーズという一聴してもフランス音楽だとすぐに分からなそうなコンテンポラリーなどを演奏しても、その中にある「フランス的な響き」というのは変わらないなという感覚を近頃フランス音楽を演奏する度に思っていました。先日演奏したドビュッシーとブーレーズは以外と近いところにいる気がするのです。印象派と呼ばれるフォーレ、ドビュッシー、ラヴェルの音の響きから始めて、セリエルを取り入れながらもドビュッシーに強い影響を受けたブーレーズ、そのブーレーズへの反発からスペクトル楽派を創り出したグリゼイ、そういった流れとはまた違った観点でミュージックコンクレートなども織り交ぜながら作曲するジョドロフスキまで年代順にフランス人の作曲家だけで並べ、それを演奏者と聴衆で共有して「フランス音楽の響きの潮流」を感じるというのが今回のコンセプトです。また洗足の大学院の時に指揮で共演して頂いたピアニストとして大活躍されている菊地裕介さんとピアノで始めて共演出来るのもとても楽しみです!フランスにとても長い期間留学されていた菊地さんの素晴らしい音楽も是非ご堪能下さい。
もし来て頂ける方がいらっしゃったらチケットは旧奏楽堂までか私宛にご連絡下さると幸いです。
佐藤淳一 サクソフォン・リサイタル
ーフランス音楽・響きの潮流ー
2013年 1月19日(土)
開場1:30 開演2:00
入場料2000円
会場:旧東京音楽学校奏楽堂
曲目
G.フォーレ《幻想曲》
C.ドビュッシー《ラプソディ》(Henle版)
M.ラヴェル《ソナチネ》
P.ブーレーズ《二重の影の対話》
G.グリゼイ《アヌビスとヌト》
P.ジョドロフスキ《ミクシオン》
G.Fauré《Fantasie》
C.Debussy《Rapsodie》
M.Ravel《Sonatine》
P.Boulez《Daialogue de L'ombre Double》
G.Grisey《Anubis et Nout》
P.Jodlowski《Mixion》
サクソフォン:佐藤淳一
ピアノ:菊地裕介
エレクトロニクス:對馬樹
音響:(株)エディスグローヴ
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