7/13、コングレス見学と、夕方にTsukubaSQステージ。
この日は朝から原博巳さんの演奏。まずはNew Hall(アコモデーションのひとつ)に集合。New Hallのラウンジでオーティス・マーフィ氏が今日のTsukuba Saxophone Quartetのステージに来てくれるとのこと…気合いが入る。皆でタクシーを使って向かった…のだが、出発が遅れ、行き先を間違え、St.Salvatore Chapelに着いた頃には演奏が始まっていたのだった。マシスの終楽章を教会後方のスペースで聴き、なんとか2曲目の鈴木純明氏作品から座席で聴くことができた。マシスは、非常に古典的な響きのする作品で、まるでバッハの無伴奏作品のよう。マシスと、特殊奏法を交えた鈴木氏の「スフルスティック」「スラップスティック」の対比は、実に面白いことだ。高い集中力での演奏を終え、聴衆から大喝采を浴びていた。
続いて、St.Leonards Auditoriumに移動して、Amigo Saxophone Collectiveを聴く。道中、ハルカさんと合流し、会場では寛絵さんと合流した。このピーター・ペレン氏と、伊藤あさぎさんが参加しているのだ。一曲目は間に合わなかったが、二曲目に演奏された新作?の名曲コラージュ選のような作品が面白かった。4重奏なのになぜか5本で演奏されたときの微妙な空気感がなんとも。4重奏にもかかわらず、5人で吹きたい!となり、やむなくこのような演奏形態になったとのこと。あさぎさんはテナーだった。
10:00からはロシアの若き天才(まだ13才くらいのはず)、Matvey Sherlingを同じ会場で聴いた。今回はプロモーターとして父親(作曲家でもある)が同行していた。母親はピアニスト。最初に演奏されたのは、父であるYuri Sherlingの「サクソフォン協奏曲」見事なテクニックと輝かしく大音量の音色で、グネーシン音楽アカデミーのシャポシュニコワ教授門下であることがすぐにわかった。続いて、ジャズか?ドゥメルスマンか?の二択式リクエストで、ジャズが演奏されたのだが、枯れた空気感から渋い音色、そしてもちろんテクニックまで、ここまで完成されているのは恐れ入る。
街中で、マリー・ベルナデット・シャリエ氏とお話し、写真も撮ってもらってテンション急上昇。次はジョン・サンペン氏とマリリン・シュルード氏のレクチャー「In Celebration of John Cage」を聞く。ケージ氏とサクソフォンの関わり、サンペン氏が「Four5」の委嘱に至った経緯などが話された。自分のリスニング能力について、やはり少し難しい話になるととたんに内容がわからなくなるなあと思い知った。ちなみに、「Four5」の世界初演は、1992年にイタリア・ペザーロで行われた第10回世界サクソフォーンコングレスの場だったそうな。20年の時を経て、ふたたびコングレスの場で演奏されるということに、ある種大きな感動を覚えた。
続いて、Younger Hallで、ヴァンサン・ダヴィッドのマスタークラスをちらと覗いて、終わってすぐにAdolphesax.comの運営メンバーと初めてお会いした。これまでインターネット上でしか交流がなかったものの、こうやって直接あって話せるのもWSCの醍醐味である。日本に関するプロジェクトに関して簡単に打ち合わせ、再会を約束して別れた。
Younger Hallではカリーナ・ラッシャーのマスタークラスが開かれた。マスタークラス開演前に、カリーナ・ラッシャー女史のところに駆け寄っていろいろと話したのだが、長年シガード・ラッシャーについて調査・研究を行なってきた私にとってはとにかく夢の様な体験だ。日本語でラッシャーについて雑誌等に書いていること、今度出版される予定の「Rascher Reader」について日本に紹介したいことなど話すと、とても喜んでくれた。マスタークラス自体は、カリーナ・ラッシャーの教育者としての偉大さを感じることとなった。受講生のレベルにはやや疑問を感じたが、それぞれのレベルに合わせた見事な立ちふるまい。「Never play without thinking」という一言が、いまだに頭に残っている。
続いて、ちょっとだけトレード・ブースに顔を出す。Tenor Saxophone IndexでPierre Jodlowski「Mixtion」を加えてくれ!と懇願し、Astute MusicでAndy Scott「Dark Rain」収録CDの出版予定について聴き、RICOのブースでフィリップ・ガイス氏と写真を撮ってもらい、RICOロゴ入りマグカップをもらい、ポリカーボネイト・サクソフォンを吹くガイス氏に驚嘆し、バーバラ・トンプソン氏と写真を撮ってもらい、楽譜を購入し…と、ひとしきり遊んでしまった。
杉原真人さんと、イギリス在住のトリオのコラボレーションによるキャチュオール・ダンシュの演奏を聴きに。チャイコフスキー「くるみ割り人形」、ラヴェル「クープランの墓」、ガーシュウィンの「3つの前奏曲」を演奏していた。すべて杉原さんの編曲とのことだが、見事な筆致に恐れいった。この編成のレパートリーはまだ非常に少ないため、こういった演奏・編曲をきっかけに広まっていくと良いな、ということを考えた。
St.Leonards Auditoriumに移動し、Kristine Grayの演奏をちょっとだけ聴いた後に、他の演奏を聴きたい気持ちを抑えてTsukuba Saxophone Quartetのリハーサル。St.Leonardsって、高校なんですよ。リハーサル用として通されたのは、その高校の地理教室。向かいの教室では、なんとパリ国立高等音楽院のアンサンブルが、ジャン=ドニ・ミシャ氏とともにリハーサル中(^^;途中、やはりパリ国立高等音楽院在籍中の井上ハルカさんが聴きに来てくれるなど、いろいろと緊張感のあるなかの、最終チェックとなった。
我々のステージの前では、St.Leonards Auditoriumでは、アルゼンチンの奏者が気合たっぷりのタンゴを演奏中!熱いタンゴがドアの外にまで漏れ聞こえてきた。いよいよTsukuba Saxophone Quartetの出番。St.Leonards Auditoriumの本日のトリということもあってか、お客さんもたくさん入っている。「琉球幻想曲」をなんとか演奏し終えると、喝采の声も飛んできた!嬉しい!ちょっと前にでて簡単に自己紹介とスピーチをしたのだが、そこで客席になんとドゥラングル氏とボーンカンプ氏を見つけてしまい、超緊張。「シャコンヌ」は、(自分だけ)猛烈な緊張の中演奏することとなった(^^;そういうわけで、いろいろと個人的な反省はあるのだが…なんとか最後まで演奏することができた。
終演後、たくさんの人に良かったよ、と言ってもらい、嬉しかった。日本から何冊か購入して持っていった2曲の楽譜も、すぐ無くなってしまい…。Siam Saxophone Quartetの方々と撮った写真や、ドゥラングル氏、ボーンカンプ氏、石渡先生と撮った写真は、宝物だ。おそらく、この先何があっても撮ることが出来ないであろう写真!(クリックすると拡大します)
一旦DRAに戻り、夕方20:30に街の中心部に集合。コングレスの日本人参加者による集まり。早瀬さんがコーディネイトしてくださって、石渡先生、宗貞先生、原博巳先生、杉原真人さん、安井寛絵さん、伊藤あさぎさん、松下洋くん、日下部さん、井上ハルカさん、小澤瑠衣さん、上野耕平くんとTsukuba Saxophone Quartetの5人&ユカさんが集まった。
日本を・世界を代表するサクソフォン奏者ばかり集まる中、恐縮だったが、集まってパーティが始まってしまえば実に楽しいものだ!サーブされた料理はどれも美味しいもので、特にトムヤンクンとカレーが絶品!とても充実した時間を過ごした。最後は集合写真も撮って、散会。この写真も良い思い出!
帰り際、DRAに帰ろうとすると、なんとインターナショナル・サクソフォン・カルテットのメンバーとロンデックス氏がタクシー乗り場に登場!驚いた。つい勢いで写真撮ってもらっちゃいました(笑)。ロンデックス氏を筆頭とするメンバーで大型タクシーに乗り込んで、DRAまで。最後の最後にまた素敵な思い出ができたなあ。
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