今回イギリス、スコットランドのセント・アンドリューズ大学において、Richard Inghamディレクターの下開催された第16回世界サクソフォン・コングレス。イギリスのごく小さな町で開催されたにも関わらず、世界中からたくさんのサクソフォン奏者が集結し、全体として非常に大きな盛り上がりを見せていた。
コンチェルト・コンサートには世界的に有名な奏者が数多く招聘され聴き応えがあったし、応募団体も多く新作初演も多数(魅力的な作品の多いこと!)、サクソフォンの枠を超えてしまったようなパフォーマンスを繰り広げる団体はどれも光っていたし、さらにOpenDayと銘打ったアマチュア向けのイベントあり、学術的なイベントあり、とにかく盛りだくさん&大成功だったと思う。
もちろん、この成功の裏には、ディレクターを始めとした数多くのスタッフの働きが大きく寄与しているわけで、改めてこの場を借りて感謝申し上げる次第。
さて、今回のコングレスだが、言ってしまえば、集結したサクソフォン奏者を結びつける要素は「クラシック・サクソフォン」というキーワードのみである。あとは国籍も言語もバックグラウンドも、バラバラなのだ。しかし、各団体や個人が自身の最高の演奏・レパートリーを披露し、お互いがその演奏を理解して喝采を送り、ひとたび演奏が終わればパブで酒を飲み交わす。国際コンクールと違い、学生からベテランまで万遍なく集まってくるというのも面白いし、もちろんお互いをライバル視する緊張感はない。私は、これ以上魅力的な「クラシック・サクソフォン」のイベントを知らない。
にも関わらず、日本からの参加者は全体の割合からすれば非常に少なかった。現在日本で活動していて演奏者として参加したのが8人(宗貞先生、原博巳さん、上野耕平くん、あとTSQ)、現在日本国外で活動していて参加した日本人(杉原真人さん、安井寛絵さん、伊藤あさぎさん、井上ハルカさんなど)も、きちんと把握できていないが、それほど多くはないはず。聴衆としての参加も、石渡先生、早瀬さん、日下部さん、松下洋くん、小澤瑠衣さんくらいで、ほとんどいなかった。
もったいない!例えば、ディナンのコンクールの参加者のうち日本人が毎回1/3を占めているような状況を考えると、これだけコングレスへの日本人参加者が少ない状況が不思議なのだ。行き帰りの交通費は平日行き平日帰りとすれば13万程度、宿泊費が6000円×5泊で3万円、参加費1万+α程度でフリーパス+演奏者としての参加費をまかなうことができる。これで6日間の全日程の演奏が聴けて、20分間演奏できて…と考えれば、破格であろう。地理的な遠さは如何ともしがたいが、それを言えば国際コンクールだって同じだ。
2015年はフランスのストラスブールで第17回のコングレスが開かれる予定。私は声を大にして言いたい「日本からコングレスへ参加しよう!」これまでに考えたこともない素晴らしい体験があなたを待っているはず。そして、できれば演奏者として参加し、日本の優れたサクソフォンを存分に世界に知らしめようではないか。
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