我々の世代では常識だった日本のサクソフォンのあれこれが、若い世代に対してはすこしずつ通用しなくなっているのではないかな…と思う。世代交代は進んでいくのだから当たり前で、私の世代だって少し上の世代からはそう思われているのであろう。とにかく、我々の世代の常識の一つとして、「サクソフォン四重奏とピアノのために編まれた作品として人気が高い作品の一つ」という認識がある。
ピアソラの音楽は、私なんかはキンテートで演奏される、暑苦しく刺々しく胸をかきむしるようなテンションの演奏が好きで、いつぞやに発生したピアソラ・ブームに乗ったクラシック楽器用の編曲は、あまり好みでないものが多いのだが、ふしぎとこの啼鵬さんの編曲は好きなのだ。単純にピアソラの音楽をクラシックのフォーマットに移し替えるだけでは、薄めたスープのような音楽になってしまうところだが、啼鵬さん自身の語法でその穴を埋め、編曲ではなく再創造、といった趣である。かなりのボリュームだが、ひとつの楽章を取り出しても演奏会中で映え、使い所も多い。
本作品が収録されているCDは、トルヴェール・クヮルテットの「トルヴェールの四季(EMI TOCE-9955)」。小柳美奈子氏とともに長生淳「トルヴェールの四季」とピアソラ/啼鵬「ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬」を演奏している。Amazonでも購入可能。実は自分が2枚目に買ったCDなのだが、CDを買った当初から、「トルヴェールの四季」はどうしても好きになれなくて、ピアソラばかり聴いていた。
ちなみに、以前は楽譜のレンタルが行われていたが、レンタル業務の停止により、少し前から楽譜の入手が難しくなっている。
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