2012/04/17

デュオ・ベティーズの演奏会CD&DVD

3/18に水戸芸術館コンサートホールATMで開かれた、デュオ・ベティーズ(サクソフォン:塙美里&大西智氏)の演奏会の模様を記録したDVDを、塙美里さんから送っていただいた。ご案内いただいていたにも関わらず、この日はサクソフォーン協会のコンクール本選だったため、伺えなかったのであった。

【Misato Hanawa Saxophone Recital Musique de Chambre ~Duo Betises~】
出演:塙美里、大西智氏(以上sax)、木米真理恵(pf)
日時:2012年3月18日(日曜)14:00開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
プログラム:
F.プーランク - エディット・ピアフ賛
A.グラズノフ - 吟遊詩人の詩
F.ナルボーニ - ミンク(日本初演)
F.クライスラー/S.ラフマニノフ - 愛の喜び
D.メンデルスゾーン - ピアノ三重奏曲
F.プーランク - 三重奏曲
M.グリンカ - 悲愴的三重奏曲
G.ヴェルディ - どんな海、どんな地が
L.グリェーミ - 薔薇色の人生

まず最初の2曲は、塙さんのソプラノサクソフォン・ソロ。カンブレ音楽院におけるジュリアン・プティ氏への師事以降、おそらく最も得意としているであろう楽器。まだまだ曲をこなすことに集中されていた前回リサイタル(2009年)の印象はどこへやら、すでに音楽を手中に収め、聴衆へと向いたベクトルが印象的である。端的に言ってしまえば、ものすごく余裕がある演奏、ということ!隅々から感じられる"うた"と、キラキラとした美しい音色…これは師匠譲りか?…が耳に残る。ナルボーニの現代作品は、音響効果と即興(大西智氏さん)まで加えた作品で、解説からはどんな響きか想像することもできないが、集中力の高い響き。この作品で第1部を閉めてしまうというアイデアも、なかなか。

第2部は、ラフマニノフのヴィルトゥオーゾ的ピアノソロから始まる。続いて、デュオ・ベティーズで、メンデルスゾーンの傑作「ピアノ三重奏曲」の演奏。ジュリアン・プティ氏の奥様がチェリストだということもあり、その影響下にある演奏、なのだそうだ。ここでは、なんと塙さんがバリトンサクソフォンを演奏。大西さんがソプラノサクソフォン。ちょっと意外だったが、このメンデルスゾーンの楽曲が持つ求心力を生かした演奏だ。長大な作品だが、構成を見透かす演奏に感服。デュオ・ベティーズで演奏される続く2曲も、同じ傾向だ。プーランクは、単なる軽きに流れずちゃんとツボを押さえているし、グリンカはお得意のレパートリーなのだろう、見事の一言。

メインのグリンカ「悲愴的三重奏曲」のあとは、演奏者へのインタビュー。司会を務めるのは、前回リサイタルでも舞台に登っていた薄井しお里さんではないか!当時は高校生だったはずだが、現在大学生とのこと。3年という月日は長いものだなあ。このインタビューは、とても面白く聞いた。普段の演奏会では、こうやってゆっくり演奏者がしゃべる機会などないものだから、ある意味"裏第3部"というところか。いろいろな話が続き、最後になんとお客様の前で重大発表!なんと結婚の報告が!大西さんの、なんだかたどたどしくも、初々しいコメント、いいなあ。

そういえば、プログラム冊子の解説がとても面白かったことを付け加えておく。エッセイ風なのだけれど、同時になんだか妙にジェネラルな感触もある。不思議な、そして魅力的な文体だ。

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