2012/04/30

デュポン楽長&ギャルドの時代

本日午後から実家に帰省中。東京の暑さには驚いたが、さすがにこちらは涼しい。

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帰省時のお供は、ピエール・デュポン楽長時代のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏を納めたアルバムだ。木下直人さんが所有するSP盤を、ご自身が持つ世界最高クラスの技術・機材で復刻した盤で、発売当初大きな話題となった。グリーンドア音楽出版ということで、この手の復刻盤によくある「気がついたら廃盤」ということもなく、Amazon等でも気軽に手に入れられるのがうれしいところだ。

ピエール・デュポン氏は、1927年から1944年までギャルドの楽長を務め、同楽団の黄金期を築き上げた。ギャルドの音楽が完成期を迎えるのは後任のブラン楽長とリシャール副楽長の時代だが、その完成期への道筋を作り上げたデュポン楽長のことも忘れてはならない。編曲家としても活躍し、行進曲のみならずオーケストラの名曲を数々アレンジした。SP時代でありながらレコーディングにも積極的で、後世に見事な演奏を伝えるきっかけを作ったことについても、評価が高い。

デュポン楽長の芸術感をまとまって聴くことのできる媒体は、思い当たるところでは10年ほど前にEMIから出版されたギャルドにまつわる20枚の復刻盤くらいだろう。この時も木下直人さんは復刻に協力したが、その出来には不満があったそうだ。この新復刻盤は、それ以来木下さんが培ってきた技術を惜しみなく投入したものである。SPやモノーラルLPの盤からの復刻に関して、当時の空気感を再現できる研究家は、木下さん以外にはいないことだろう。しかもなんと2枚組!

復刻された盤を聴いてみると、いかに当時の聴衆がこのデュポン楽長指揮のギャルドに興奮したかが、伝わってくるというものだ。もちろん、解像感という点で言えば現代の最新の録音と比べるまでもないが、そのテクニック、音色、音楽性などは、ある意味現代の録音よりもリアルに捉えられている。なかなか聴き通すにも集中力を要するが、これを聴かずして吹奏楽を語ることなどできないかもしれない。20世紀前半に到達した最高レベルの演奏が、記録されている。敢えてどのトラックがおすすめ…とも書かないので、ぜひ聴いてお気に入りを探し出していただきたい。

サクソフォン的興味からしても、マルセル・ミュールの演奏が聴けることがうれしい。ギャルドの音の洪水の中でひときわ存在感を放つサクソフォンの甘美な音色・ヴィブラートは、感動的だ。

Amazonでの購入リンクは、こちら。以前入手した時に書いたレビューは下記リンクから。
ディスク1
ディスク2

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