以前も送って頂いたのだが、機器の状態がほぼ完璧な状態になったということで、再度録音していただいた。過去にブログで取り上げた記事は、こちらから参照していただきたい。
私にとってのラヴェル作品集の刷り込みといえば、Sony Classicalから出版されていたロリン・マゼール指揮フランス国立管弦楽団の演奏である。私が中学の授業で「ボレロ」を知って、「ボレロを聴きたい!」と父にねだって買ってもらったものだ。演奏者を選んだのは父だったのだが、実にまっとうで模範的な演奏でありこれが最初にラヴェルの管弦楽作品に触れたのは、実に幸いであったと思っている。
クリュイタンス&ソシエテのラヴェルは、最初はCDで聴いた。もちろん原盤を所持しているEMIからの復刻盤であり、その豊潤な響に心奪われたことを覚えている。まず印象深かったのは、どこまでも明るいトランペットの音色だ。ルイ・メナルディ Louis Ménardiという、一世を風靡したトランペットの名手の演奏だということを知るのは、もっと後のことである。ルシアン・テヴェのコルには泣かされた。あのようなヴィブラートを伴った美しい音色がこの世に存在するのかという驚き。弦楽器群の響きはどうだろう…それまで好きだったイ・ムジチの音とは違うが、得も言われぬ魅力的な音。ミシェル・デヴォストのフルート、ピエール・カジェのオーボエ…と、挙げていけばキリがない。
木下直人さんからラヴェル作品集のトランスファーを頂戴したときは、実に嬉しかったものだ。そして、それまで聴いていたEMIの復刻盤が、急に魅力ないものに思えてきてしまったのだから驚きだ。なぜ、盤起こしの木下さんの復刻が、マスターテープを所有しているはずのEMIの復刻よりも魅力的なのだろうか。奥行き感、ダイナミクスレンジ、いや、さらに進んで「音楽性」とでも表現できるものが、圧倒的である。
このCD-Rは、丁寧に保存して次の世代につないでいかねばならない。人類の宝と言ってしまっても良いのではないかな…。また、これを再生できる環境を揃えることもそろそろ真剣に考えていかなければ。
0 件のコメント:
コメントを投稿