2012/01/05

Quatuor Alexandre "Reminiscence"

木下直人さんから、CD-Rをたくさんお送りいただいた!ブログでも紹介していきたい。

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何度でも紹介したくなってしまうサクソフォンのアルバムがある。単純に演奏のクオリティが高いから、というだけではない、「これは紹介しなければならない!」と使命感を燃えさせる、不思議な魅力を放つCDだ。

カナダのアレクサンドル四重奏団 Quatuor Alexandreは、ダニエル・ゴーティエ Daniel Gauthier氏を中心に結成されたグループである。団体名の"アレクサンドル"とは、アレクサンドル・グラズノフのことであり、グレズノフに敬意を表しての命名されたとの旨が書いてある。残念ながらこの団体は現在は存在していない。リーダーのゴーティエはドイツに移住してアリアージュ四重奏団という団体で活躍しているが、サウンドの方向性は全く別物である。

「Reminiscence(Societe Nouvelle d'Enregistrement SNE-566-CD)」
Alfred Desenclos - Quatuor
Alexandre Glazounov - Quatuor, Op.109
Guy Lacour - Quatuor
Daniel Pilon - Transparences

1990年の録音。相当の気概を持って録音に臨んだであろうことがわかる驚くべき演奏である。それぞれの曲を出来るところまで突き詰めたら、こんな演奏になってしまうのだろうか。ちょっと日本人的というか軍隊的というか…いったいどのメンバーがリハーサルを導いたのだろうか。「几帳面」というキーワードが浮かぶが、音楽的につまらない演奏だということではない。この見事な音楽表現のために、これだけのリハーサルが必要だったと考えれば納得がいく。

デザンクロの第1楽章など、フランス式のゆらゆらしたテンポ設定や各旋律の紋などなんのその、和音が常にカッチリとしたバランスで聴こえてきて、まるで別の曲のように聴こえる。グラズノフの、旋律の美しさに逃げない作り込みなども感動的だ。もっとも成功しているのはラクールだろう。おそらく、今後もこんな強烈な録音は出てこないのでは。ダニエル・パイロンの現代作品は、これは私が初めて聴いたいわゆる"現代曲"だと思うが、音楽的にも良くできた作品で、なかなか面白いと思う。演奏の作りこみにも助けられている部分があるだろう。

例えばこの団体の演奏で、シュミットやリュエフなど聴いてみたいものだが、叶わぬ夢…であるなあ。中古でも入手は至難だが、どこかネット上で見かけた折にはぜひとも入手していただきたい。

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