大変珍しい盤をお送りいただいたのでご紹介したい。テパッツ TEPPAZというレーベルをご存知だろうか。リヨンに本拠地をおいたフランスのターンテーブル・メーカーで、ポータブルターンテーブルの分野で特に有名だ。機器のみならず、独自の録音レーベルを立ち上げていくつかの興味深いレコーディングを行なっている。
「Collection Concert No.2(TEPPAZ)」と題されたLPで、ジャン=バティスト・マリ Jean-Baptiste MARI指揮、パリ音楽院管弦楽団 Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoireの演奏による管弦楽作品集である。「Light Music」などという副題が付いているが、我々が一般的に連想するライト・ミュージックとはかけ離れた、真っ当なクラシック音楽が収録されている。
F.A.Boieldieu - Ouverture du Calife de Bagdad
A.Luigini - Ballet egyptien
F.v.Suppe - Ouverture de Poete et Paysan
E.Chabrier - Bourree fantasque
スッペの「詩人と農夫」やシャブリエの「気まぐれなブーレ」(これってピアノ独奏曲ではなかったか)くらいは聴いたことがあるが、ボワエルデュー「"バグダッドの大守"序曲」やルイジーニ「バレエ:エジプトの踊り」は知らなかった。
どんなものかと聴き始めてみたのだが、これがまた素晴らしいのなんの。ラヴェルの作品集でも聴けた、1950~60年代のパリ音楽院管弦楽団の豪華絢爛なサウンドが、素晴らしい形で記録されている。録音年代がわからないのだが、いつ頃のものになるのだろうか。特にルイジーニ作品での、精緻な慰めの表情から、最終部の大爆発まで幅広く表現されたトラックに感銘を受けた。
「詩人と農夫」冒頭のチェロのソロは、チェロ奏者にとって一世一代の大仕事とも言えるフレーズだが、誰が弾いているのだろう。私なんかはギャルドが刷り込まれているせいか、ヌオーの丁寧なソロを思いだしてしまうが、やはり当時のフランスの名手たちが結集したオーケストラだけあり、さすがの独奏である。続くにぎやかな部分も、こちらもキラキラと輝く管楽器・弦楽器の音色に酔いしれてしまう。音色…というか、なんだか音楽性とでも呼びたくなってしまうくらいだ。
いちおうCDにもなっているようだが、おそらく木下直人さんの盤起こしには全く敵わないのではないかと(^^;
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