2012/01/19

伊藤康英「ラモーの主題による変奏曲」

数々の吹奏楽曲や器楽曲、歌曲でおなじみの作曲家・伊藤康英氏と、日本のクラシック・サクソフォン界との繋がりは深い。独奏、ピアノとのデュオ、サクソフォン四重奏、他の楽器とのアンサンブル…メロディアスな作品から、無調性の現代音楽まで、いずれも人気の高いものばかりだ。

サクソフォン界とのつながりは、須川展也氏とのコラボレーションによるところが大きい。須川氏といえば、日本におけるサクソフォンの立役者として真っ先に名前が挙がるが、その須川氏の活動の黎明期を支えたのが伊藤康英氏の作品群だった。実はこの2人、同郷の高校で先輩・後輩の間柄。高校のころから、音楽の世界を夢見ながらそれぞれ作曲・演奏活動を展開していたというから驚きである。無伴奏アルト・サクソフォンのために書かれた「シャコンヌ」や、トルヴェール・クヮルテットのために書かれた「サクソフォーン四重奏曲第2番」、また、須川氏が鮮烈な世界デビューを果たしたのも「サクソフォン協奏曲」によって、だった。

「ラモーの主題による変奏曲」は、須川氏のデビューアルバムの冒頭に収録されたコンサート・ピース。サクソフォンの機動性に乗せて、伊藤康英氏らしい閃きが散りばめられた筆致を楽しみたい。

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