2012/01/18

Jules Demersseman "Fantaisie"

曲目解説執筆の依頼が来たので、下調べ用の記事を準備。

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ユレ・ドゥメルスマン Jules Demersseman(1833 - 1866)は、フランスのフルート奏者・作曲家。パリ音楽院にて学び、12歳の時にはコンクールで優勝するなど、早熟の天才であったと言われている。当時流行し始めたばかりのベーム式フルートの利用を頑なに拒み続けたことで時代に取り残されるなど、決してのその演奏家人生は順風満帆とは言えなかったようだ。33歳で結核のためパリにて夭折した。

作曲家としては、やはり自身が得意とするフルートのための作品を多く残している。サクソフォンのために作品を作りはじめた経緯については謎が多いが、現存しているだけでも20もの作品があり、実際にはもっと多く作られたのではないかとも考えられる。サクソフォンのための最も有名な作品が「オリジナルの主題による幻想曲 Fantaisie dur un Thème original」であり、古今東西様々な奏者によって取り上げられている。近年では、この曲が書かれた当時のピリオド楽器を使用したアプローチもなされ、いくつかCDも出ているほど。

まずは、なだれ込むようなピアノの序奏にご注目。冒頭の部分を聴くと、まるでピアノ独奏のために書かれたのかと勘違いしてしまうほど充実している。サクソフォンは、短い技巧的な序奏に続いて無伴奏のカデンツに突入。サクソフォン奏者にとって初めての見せ場であり、吹き手によって解釈が様々に変わるのも聴きどころ。カデンツを抜けると、変奏曲。冒頭の牧歌的な主題が様々な形で変奏され、輝かしいフィナーレに向かっていく。

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