2008/06/10

Renouncement

ジョン・ハール氏の門下生であるクリスチャン・フォーシャウ Christian Forshaw氏は、その独特の活動によってイギリス国内外から注目を集めている。彼のセカンド・アルバム「Renouncement(IntegraRecords ING1001)」は、サクソフォンと共に合唱が共演したCD。すでに発売して数年経つが、久々に棚の奥から引っ張り出して聴いてみた。

クランポンのプレスティージュを使用した、典型的ハール門下のサウンドなのだが、イギリスのサックスの音にびっくりしなくなってきたのは、耳が慣れてきた証拠だろうなあ。"クラシックのサックス"という先入観を持って聴いたときのインパクトは相当なもので、「???」が頭に並んだ後に中毒になるか、拒絶するかというところなのだが(私はもちろん前者だった)。新鮮な気持ちで聴けなくなったのは、ちょっと寂しくもある(苦笑)。

S.S.Wesley/C.Forshaw - Hereford
J.S.Bach/C.Forshaw - Not So Sad
C.Forshaw - Renouncement
Anonymous/C.Forshaw - Mortal Flesh
J.P.Rameau/C.Forshaw - Suites from Les Boréades
J.Dowland/C.Forshaw - None But Me
G.Carpentar - Songs of Sadness and Piety

さて、アルバムの中身だが、良い意味でのヒーリング・ミュージック~癒しのサクソフォン、という趣である。響きはどれも美しく、睡眠前にでもかけておきたくなるほど。かといって、巷に蔓延するようなオムニバス盤のようなものではなく、このCDに関しては真面目に聴こうとするとふつふつと奥深さが伝わってくるのだ。

ファースト・アルバム「Sanctuary」に収録されていた「Mortal Flesh」が再度収録されているのが面白い。聴き比べてみると、こちらのほうがずっと上手いじゃないか。「Sanctuary」で気になったフォーシャウのフラジオ音域における安定性がかなり良い具合に修正されており、再録のモチベーションが何であったのか、なんとなくわかる気がする(笑)。

そのほかの注目はと言えば、ゲイリー・カーペンター Gary Carpenterの「Songs of Sadness and Piety」かな。カーペンターと言えば「サクソフォン・ソナタ」等で知られる同時代のイギリスの作曲家だが、賛美歌を題材に使いつつも明らかなカーペンターの節回し!パーカッションやオルガンを豪勢に使いながら、時折の現代的なサウンドがたまらない。この曲だけは、サックスもジャズのフィーリングだ。

そういえば、全体のテンションや精緻さの中で、ラモーの作品だけはちょっとズッこけるのだが(--;;なぜこれを取り上げたのだろう。不思議。CDの入手先だが、ありがたい事に手に入りやすくamazonで普通に買えるフォーシャウ氏の公式サイトでも販売している。おっと、新しいアルバムがリリースされているみたいだ。フランス直球勝負か…そのうち買ってみよう。

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