はっきり言って、クラシック・サクソフォンという分野に身を置いているということは、音楽ジャンル全体から見れば少数派である、ということに他ならない。毎月国内で発売されるクラシック・サックスのCDは、せいぜい一枚。コンサートは、多くて月に三回程度。
関わっている人数自体は、アマチュアを含めれば相当な数に上るはずなのだが、うーん、たとえば吹奏楽の中でサックスを吹いている限りは、クラシック・サックスという分野へ足を踏み出しているというわけではないからなあ。まあ、とにかく世間的な認知度は低い。
クラシック・サックスというジャンルの少数派っぷりも見事なものだが、自分が興味の対象としているのは、その分野の中でもさらにマイノリティと言える、「イギリスのクラシック・サクソフォン」「現代音楽におけるサクソフォン」のふたつ。あと「サクソフォンの歴史上重要と思われる奏者・録音・作品」あたりか(この分野の探求に関しては、すでにアマ・プロ問わずパイオニア的存在がたくさんいらっしゃるため、大っぴらに手を出すのはちょっと恐れ多い)。
時々、なんでこんなマイナー漁りをしているのかね、と自問自答することもある。資料を発見するのにも苦労するし、見つけたとしても高価だったり、すでに入手不可能になっていたり。日本では、コンサートや録音で取り上げられる機会も少なく、生で体感したかったら外国に出かけるしかない、ということもある…さすがにそこまでする気はないが。むなしい…。これらの話題を濃ゆーく共有できる方があまりいらっしゃらない、というのも、少し寂しい。例えばmi○iに、「サイモン・ハラーム」や「ダニエル・ケンジー」というコミュニティを作成したとして、いったい何人の方が参加してくれるのだろう(苦笑)。「サックス吹きの会」の「どの曲が好き?」スレッドに、「Grab It!」や「Mixtion」と書き込んだとして、何か反応があるはずもない(苦笑)。あったら驚くって。
しかし、この分野に興味を持ち続けていたことは、今まで数々の愉しみをもたらしてくれた。玉石混交とも言える混沌からのすばらしい作品の発見、聴いたことのないスタイルの録音、様々な奏者との出会いやコミュニケーション…。普段報われないだけに、そういったブレイクスルーがあると、とても嬉しいのだ。ワケのわからない曲ばかりが収録されたCDの中から、「これは!」という演奏や作品を発見したときの喜びと言ったら!世界初演、日本初演や世界初演のプログラミングから、名曲が生まれる瞬間を共有したときの充実さと言ったら!の別に誰かと競争しているわけでもないのに、なぜか感じる不思議な優越感。
まあ、トレジャー・ハンティングみたいなものだ。また、そうして得られたお宝は、できるだけ外へ情報を公開していくべきだと考えている。その結果が、トップページの「イギリスのサクソフォン」コーナーだったり、このブログに書き付ける内容だったりするわけで。玉も石も掴まされた中から、主観評価とはいえ、できるだけ純度の高いオブジェクトの情報を公開しているつもりなのだ。極々稀に、コメントやメールで反応があると、かなり嬉しかったりする。
そういった、個人的な愉しみ、そして外へ情報を公開していくという愉しみは、不思議と面白いのですよ。手間はかかるが、多数派ばかりを追いかけるのだけでは、私にとってはやはり何かが物足りないのだ。
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