Harry R. Gee氏による「Saxophone Soloists and Their Music, 1844 - 1985」は、タイトル通り、主なサクソフォンの演奏家のバイオグラフィと、各演奏家に献呈された作品、レコーディング等のデータを収録した書籍である。そのあまりのデータ量の多さから、クラシック・サクソフォンの歴史上の事柄に触れる際には、参照されるのが常。
サクソフォン黎明期の演奏家・作品について、主なジャズサクソフォン奏者について、アメリカのサクソフォン演奏家に関する資料、ヨーロッパのサクソフォン演奏家に関する資料、日本・オーストラリアのサクソフォン演奏家に関する資料。全300ページ。
1985年のデータで止まってしまっているのが玉に傷だが、そこに目をつぶりさえすれば、それまでに活躍した演奏家のほとんどすべてのデータを見ることができる。個人的には、マイケル・クラインやウオルター・リア他、イギリスのサクソフォン黎明期における奏者のプロフィールを見ることができて、楽しい。…って、「The Histroy of the Saxophone(Clarinet Classics)」は、ほとんどこの本の焼き直しじゃないかー。
ミュール、デファイエ、ラッシャー、ロンデックス等、歴史上の稀な名手と呼ばれるかたがたに関しては、たっぷり数ページ分を割いてあり、かなりの見ごたえが…。例えば、デファイエ氏が教授を務めたパリ音楽院の各年度の課題曲リストなんかなかなか面白い。リストに挙がっているのは、ゴトコフスキーの「悲愴的変奏曲」、サンカン「ラメントとロンド」など。1971年の課題曲はパリ警視庁音楽隊指揮者のデジレ・ドンディーヌ氏の手によるものですかい。へえぇ。作曲をなさるとは知らなかった。
日本の奏者に関しては、市川豊氏、大室勇一氏、阪口新氏、佐々木雄二氏、下地啓二氏、上田啓二氏の名前を見ることができる。ボルドーやノースウェスタンなど、欧米に留学したことのある奏者が主ですね、やはり。
中古品くらいしか出回っていないようだが、サクソフォンの世界に興味がある方ならば、入手しておいて損はないと思う。
2 件のコメント:
この本も、何度手配しても入手不能になってしまうんですよ。。。今のうちに入手しておきたいのですが。
数週間前の段階では、amazon.comに、used商品として何冊か出品されていたような気がします。
アメリカの奏者の情報が多いので、かなりmckenさんのサイトの参考になるのではと思います。ぜひ入手してみてください!
どなたか改訂版出してくれませんかね…。mckenさんの所蔵資料をもってすれば、1985年以降を全てカバーできるのでは(笑)。
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