久々に良い曲を見つけた。吹奏楽畑でずっとサクソフォンをやってきた私だけに、この作品は、かなりツボ!
ラッセル・ペック Russell Peckは、1945年生まれのアメリカの作曲家。ミシガン州立大学で作曲の博士号を取得した後は、数々のオーケストラ作品を手がけ、その作品はアメリカ、ヨーロッパにおいて頻繁に演奏されている。彼が1985年に作曲した「上昇気流 The Upward Stream」は、アメリカのサクソフォン奏者、ジェームズ・フーリック James Houlikに献呈された、テナーサックスとオーケストラのための協奏曲である。
…しかし、なんと珍しや、テナーサックスのための協奏曲とは。テナー作品は、リチャード=ロドニー・ベネットの「スタン・ゲッツのための協奏曲」あたりが、トドメを刺していたかとも思っていたのだが、「上昇気流」を聴いてその考えが吹っ飛んだ。個人的には、この二作品はテナーサックスのための協奏曲の二大巨塔であると考える。
曲は、緩-急-急の3つの楽章から成る。第2楽章のカデンツァ後には、いったん落ち着きを見せるが、その後再び、第3楽章冒頭から頂点へと向けて徐々に盛り上がってゆく。
バックはオーケストラであるが、管打楽器の効果的な使い方により、まるで吹奏楽バックであるような錯覚を受ける。随所で前面に顔を出す木管楽器のソロ、トランペットの輝かしいファンファーレ、ホルンの咆哮、トロンボーンのグリッサンド、ティンパニの連打、etc.オーケストラパートの見せ場がかなり多く見られる。
そして、ソロテナーサックスパートの超絶技巧。献呈を受けたフーリック氏は、もともとラッシャーの教えを受けた奏者なんだそうだ(最近では現代楽器を使うなど、かなり方向性を変えているようだが)。そんなこともあってか、テナーにしてはありえないほどの超高音も飛び出す。派手なオーケストラパートと対話を繰り返しながら、最終部に向けて前進する様子は、何度聴いても興奮する!実演で聴いてみたいなあ。かっこいいだろうなあ。どなたかオケとやっていただけませんかね(かなり本気モード)。
断言してもいいが、世のクラシック・テナーサックス吹きは、とにかく一度この曲を聴くべきだ。テナーサックスに対するイメージが変わってしまうことだろう。
吹奏楽っぽいカッコ良さ…クラシック作品でありながら、ポップスやジャズの要素を効果的に使用するジャンルが、なんとなく存在するとは思うのだが、まさにその「カッコ良さ」に、ピタリとはまるように、曲が書かれているのだなあ思う。たぶん、吹奏楽を好きな人がこの作品を聴いても(オーケストラ作品ではあるけれど)一発で気に入るのではないだろうか。
録音は、フーリック×ロンドン交響楽団のものが最高(というか、コレくらいしかないのでは)。アルバム名は「American Saxophone(Koch 3-7390-2)」。CDは廃盤であるためかやや入手しづらいが、eMusicのトラックダウンロード販売を通じても入手できるので、興味がある方はぜひ。ちなみにピアノとのデュオバージョンもどこかで聴いたことがあるが、オーケストラとの録音に比べると、何十倍も聴き劣りしてしまうので、聴くならオケ版を!
5 件のコメント:
はじめまして。いぬやまと申します。
アマチュア吹奏楽団でテナーサックス吹いてます。
なんだかカッコよさそうな曲だったのでeMusicで購入しちゃいました。今、アルバム1曲目から聴いてますー。
テナーサックスでしたらこんな協奏曲もありますがどうでしょうか(ちょっと土俵違いですが)。
Michael Brecker premieres Psathas' sax concerto (1of3)
ttp://jp.youtube.com/watch?v=OI_eLbkYzKg
> いぬやまさま
はじめまして!コメントありがとうございます。今さらになって、すこし盲目的に書きすぎたかなあと反省しております(^^;;;;
が、やはりカッコイイ曲だと思います。感想などありましたら、ぜひお教えくださいませ!
> donaxさま
聴き(観)ました!私はジャズもけっこう好きなので、違和感なく受け入れられました。
カッコイイですね。楽譜として書かれた部分意外に、かなりアドリブパートがあるかなと思うのですが、さすがブレッカー氏、アドリブパートでの奔放っぷりが強烈だと感じました。
投稿したのは作曲者自身なのですね(笑)
いや、そりゃもう良かったっすよ!
冒頭のフワフワ感とか、
後半の疾走感とか。(夏ですねえ。)
「吹奏楽っぽいカッコ良さ」って
「過剰にドラマチック」ってことですかねえ。(違うか。)
盲目的…、ぼくはいいと思いますよ。
> 盲目的…、ぼくはいいと思いますよ。
恐れ入ります(^^;
後半のあまりのドラマチックさは、大音量で聴いていると、涙が出ます(大げさですかね)。管楽器の使い方が面白いなあと思ったのも、お気に入りの要因の一つです。
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