2006/12/06

ファブリス・モレティ リサイタル

旧東京音楽学校奏楽堂で開かれた、ファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏のリサイタルに行ってきた。三年前にアルバム「SONATA!」を聴いたときから、ずっと「生で聴きたい!」と思っていたサクソフォン奏者。今日、ついにその機会がやってきた。

会場の奏楽堂は、重要文化財に指定されているレトロな雰囲気の建物。ちょっと昔にトリップしたような会場で、マルセル・ミュールの楽派を伝えると言われるモレティ氏の演奏を堪能できるなんて、素敵じゃないか!洗足の文化祭とぶつかって、客入りが心配されたようだが、意外にも会場は6、7割の席が埋まっていた。

クランポンの、赤色に輝くサックスを携えて現れたモレティ氏。なんと一曲目からリュエフの「無伴奏ソナタ」。いやー、凄いや。ごくごく自然なフレージングに、幅の広いダイナミクス、豊潤な音色、そしてヴィブラートと、Crest盤のLPで聴いたデファイエの演奏が、目前にリアルタイムでよみがえっているようにも感じた。しなやかに弧を描く第一楽章の第二主題、あまりの美しさについ涙が…(大げさ?)。

そうかと思えば、単純な模倣ではないことに気付かされる。ミュール~デファイエと続いたスタイルを、さらに洗練させ、現代の聴衆の嗜好にばっちり適合させているのだ。テクニックだけみても、遜色ないどころか世界レベルだぞ、これは。ドゥラングル派の勢力が強いフランス国内で、このスタイルを確立するのは並大抵のことではない…と推測するが、実際どんなもんなんだろうか。

もちろん演奏を聴いている最中はそんな思考を巡らせる暇もなく、素晴らしい音色に溺れた1時間40分。どの瞬間を切り取っても、隅から隅まで真の一流音楽家による演奏だ!聴きに行ってよかった…(泣)。せっかくの機会だし、できればクレストンも聴きたかったなあ。

・ジャニーヌ・リュエフ「ソナタ」
・ピエール・サンカン「ラメントとロンド」
・クロード・パスカル「ソナチネ」
 -休憩-
・ヨハン=セバスティアン・バッハ「ソナタBMV1035」
・ロベール・プラネル「プレリュードとサルタレロ」
・アンドレ・シャイユー「アンダンテとアレグロ」
・林光「もどってきた日付」(ピアノ・ソロ)
・ダリウス・ミヨー「スカラムーシュ」

リュエフ以降は、ピアノの服部真理子さんとのデュオ。二人並ぶと身体の大きさはぜんぜん違うが、服部真理子さんのピアノの力強いこと!ピアノ・ソロで演奏された林光氏の作品は、メロディアスで、かといってベタベタでもない、すっきりした音楽。ピアノ・ソロのCD欲しかったなあ。

後半は、前半よりも耳に優しい曲を中心に。休憩を挟んでも、バッハの冒頭のヴィブラートを聴いた瞬間に会場の空気がすっと変わる。バッハに続くプラネルも良かった。技巧を凝らしたカデンツ部分の緊張感を伴った大きなうねりと、それに続くサルタレロの軽妙さ…挙げていけばきりがない。

アンコールは、ランティエ「シシリエンヌ」、シューベルト「セレナーデ」。いやー、ホント良かった。服部吉之先生の招きで、少なくとも一年に一回関東圏には来日しているようだ。次回も聴きにいこう!

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