2008/12/26

Music from Here and There

ジャン=イヴ・フルモー氏が、かつてRene Gaillyに多くのCDを吹き込んだことは有名である。ピアノとサックスのデュオ、そして四重奏と、多くの名盤が生まれた。しかし2002年にRene Gaillyは倒産し、それ以来それらのCDを入手することは困難となっていた。しかし最近になって、Airophonicというレーベルがそのフルモー氏関連のCDを積極的に復刻し始めた。そのことを知ったときには、大変喜んだものである。

「Music from Here and There(Airophonic 5411499 80012)」も、そんなCDのうちの一つである。フルモー氏のサックスと、長尾洋史氏のピアノによる、まさに"サクソフォン愛奏曲集"という趣のアルバムだ。

Marin Marais - Le basque
作曲者不詳 - Spanish Love Song
Enrique Granados - Goyescas
Edvard Grieg - Once upon a time
成田為三 - 浜辺の歌
作曲者不詳 - 中国地方の子守唄
Pedro Iturralde - Suite hellenique
Warren Benson - Aeolian Song
Pierre Max Dubois - Cinq pieces caracteristiques
Astor Piazzolla - Oblivion
Leonard Bernstein - West Side Story

マレの「バスク」から、いかにもフルモー氏という感じの、ニュートラルな音色がスピーカーから響いてくる。そんな美しい音のまま、バスクの超絶フレーズをさらさらと吹きこなすところに驚愕…って、フルモー氏くらいならば、きっと余裕なのだろうな。グラナドスのようなゆったりした曲でもダレ場など見せずに、最初から最後まで聴き手をぐっと惹き付ける。

途中に2つ置かれた日本のメロディも、サックスであるとか演奏者がフランス人であるとかそんなことを気にする暇もなく、純粋にメロディのみが心に染み入ってくるあたりは、さすが。フルモー氏は、作曲者の意図するところを、最良の形で聴衆に届けることのできるサックス吹きの一人と言えるだろうか。ハイ・テクニックの見せ場も用意されていて、「エオリアン・ソング」を抜けたあたりのデュボワでは、ガツンと響くサックスとピアノのデュオに「びくっ」とすること請け合い。

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