ニュー・センチュリー・サクソフォン四重奏団 New Century Saxophone Quartet(以下NCSQ)は、数あるアメリカのサクソフォン四重奏団の中で、個人的にもっとも「アメリカ的」な団体かな、と思っている。「アメリカ的」ってなんじゃい、という感じだが、彼らのレパートリー・演奏・メンバー構成・活動内容といったものを見るにつれ、ふと思い浮かんだインプレッションだ。誰の目から見ても、あながち間違いではないのではないかな。メンバーは、以下の4人。
Michael Stephenson, s.sax.
Chris Hemingway, a.sax.
Stephen Pollock, t.sax.
Connie Frigo, b.sax.
これまで、いくつもの魅力的なアルバムを解き放ってきたNCSQだが、バリトン・サクソフォンにコニー・フリゴ Connie Frigo女史を迎えて以来、初めてのアルバムが、この「On Track(Alanna Records ACD6006)」。すでにmckenさんのブログでは紹介されている。Comissions Vol.2というサブタイトルの通り、NCSQによる委嘱作品のみを収録したディスクだ。
Jacob ter Veldhuis - Heartbreakers
Barbara Kolb - Franciscan Chant
David Lang - Revolutionary Etudes
John Fitz Rogers - Prodigal Child
Ben Johnson - O Waly Waly Variations
特徴的なのは、オランダの作曲家であるJacobTVことヤコブ=テル・フェルドハウス Jacob ter Veldhuisの作品「Heartbreakers」が収録されていること。アムステルダム音楽院への留学経験から、フェルドハウス氏と親交の深いフリゴ女史のこと…取り上げるに至った理由はその辺の関係にあるのだろう。もともとはジャズ・ゼクステットとゲット・ブラスターのために書かれ、The Haudini'sによって初演されたものだが、サクソフォン四重奏版はNCSQが委嘱し、初演したということになる。
編成からも想像がつくとおり、「Heartbreakers」のグルーヴ感はもの凄い!なんてったって、ジャズ・トリオ+サックス4本という、カッコイイ響きがしないほうがおかしいという編成だ。こういった曲を演奏されたら、まさにNCSQの独壇場で、きっと作曲家の頭の中に鳴っている音楽と、ダイレクトにリンクする演奏をしてしまっているんだろうな、という気さえする。
他の曲もなかなか面白いのだが、まあその辺はぜひ実際に聴いていただきたい。マイナーレーベルならではの、おちゃらけた(?)写真の数々や、"オマケ"にも事欠かず。流通状況はいまいちだが、Alanna Recordsから直接買うことができる。送料コミで25ドル未満には抑えられるはず。
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