2022/07/31

栄光のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団

赤松文治氏の著作「栄光のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団(音楽之友社)」を中古で入手。言わずと知れた表題の吹奏楽団について、下記のような情報を体系的・詳細に網羅した(おそらく)唯一の著書である。

I.フランス親衛隊の歴史と軍楽隊誕生までの背景
II.ファンファール隊の誕生から今日までの輝かしい歴史
III.親衛隊軍楽隊の現状
IV.歴代楽長のプロフィール
V.歴代の楽長補と副楽長
VI.歴代のメンバーと名楽手達
VII.演奏活動の歩み
VIII.ディスコグラフィー
IX.親衛隊喇叭鼓隊」と騎兵ファンファール隊

「I.フランス親衛隊の歴史と軍楽隊誕生までの背景」では、13世紀の儀伏隊時代から19世紀のパリ市親衛隊まで、時代とともに変遷した親衛隊の歴史を、「II.ファンファール隊の誕生から今日までの輝かしい歴史」では、ナポレオン大統領の下創設されたパリ共和国親衛隊時代のファンファール隊の誕生から、著作発刊の1988年当時までの楽団の変遷を、各時代の詳細な編成(どの楽器が何人、等)とともに述べている。「III.親衛隊軍楽隊の現状」は、1988年当時の楽団の、ブトリー楽長以下、楽団の主要メンバーに至るまでのプロフィールと、活動履歴(海外遠征含む)の詳細を述べ、「IV.歴代楽長のプロフィール」「V.歴代の楽長補と副楽長」で再びファンファール隊の誕生にさかのぼって、同隊の初代(楽長ではなく)伍長喇叭長であるポーリュスのプロフィールから、1969年まで楽長を務めたブラン楽長、1977年まで副楽長を務めたガレ副楽長のプロフィールまでを網羅する。「VI.歴代のメンバーと名楽手達」は、50ページ近くのボリュームが割かれた本著作で最もコアとなる章であり、1859年当時の、ファンファール隊から吹奏楽形態への移行当時の名簿から、時代ごとの名簿を元に、主要なメンバーのプロフィールを述べている。「VII.演奏活動の歩み」は、1867年の欧州軍楽隊コンクールで一等を獲得した時代から現在に至るまでの、主要演奏イベントとレパートリーを、「VIII.ディスコグラフィー」では、シリンダー時代からLP時代の最終期までの全レコーディングを網羅、さらに、国内盤の情報も掲載されている。「IX.親衛隊喇叭鼓隊」と騎兵ファンファール隊」では、乗馬演奏を行う騎兵ファンファール隊の成り立ち、演奏、ディスコグラフィが、短くまとめられている。

このように、盛りだくさんの内容だが、これは著者の赤松氏が、調査・執筆当時、楽団最古参の演奏者であり楽手長でもある、コントラバス・サクソルン奏者のルネ・マゾー氏から入手した種々の資料を活用しているとのこと。マゾー氏自身も、独自に「La Musique de la Garde Republicaine de ses origins a ns jours」という、ギャルドの歴史をまとめた著作を手掛けている。

読み進めていくと、マルセル・ミュール氏ほか、ギャルドに参加していたサクソフォン奏者のことも詳しく記されており、いずれ抜粋して紹介していこうと思う。

著者の赤松文治氏とは、果たして何者だろうか。吹奏楽関係の研究者として名が知られているが、詳細な経歴等が調べきれなかった。巻末に著者の連絡先として住所が掲載されているのだが、国会議事堂と同じ地区の「永田町一丁目...」とのこと。只者ではなさそうだ。

4 件のコメント:

木下直人 さんのコメント...

この本は音楽の友社で製本され、私家本として個人販売されました。

当時直接注文しご本人から送られてきました。以後私のバイブルです。この本に調べて判った新たな内容を加えてきた気がします。
赤松さんの姿は初期のバンドジャーナルで見られますが、飯塚経世氏と共に当時の吹奏楽レコードのジャケット裏の解説の常連でした。

バンドジャーナルで海外吹奏楽LPの紹介コーナーも受け持っておられました。
亡くなられてその膨大な吹奏楽関連資料は、ロシア大使館前の「日本近代音楽館」に寄贈され赤松文庫として公開されていました。
一度だけ音楽館を訪ねたことがあるのですが、この本のもとになったであろう資料とレコードを手に取ってみることができたのでした、コピーも自由でしたし希望すればレコードも再生してくれて聴くことも可能でした。
2000年の東芝からのギャルドのCD発売の時に著作権か何かの問い合わせでご遺族の住所を教えて頂いたことがありましたが、都内の別の場所のマンションでした。
尚、所有されていたギャルド関連のSPは音楽館には無く、クリストファー野澤氏に寄贈されたそうです。このSPを氏の所有するクレデンザで復刻して東芝から4枚組のギャルドのCDが初発売されました。
これを聴いて東芝に問い合わせた時の担当者が幸松肇さんでした。そして最終的に私のコレクションを使って20枚のギャルドのシリーズが発売になったのでした。

一連の出来事の中でこの本がいかに役に立ったか、赤松さんに感謝です。
新同本を見つけて、現在日本人として初のギャルドのメンバーになっているクラリネットの宮子雅子さんにも贈呈してあります。

Thunder さんのコメント...

ついに入手されましたね。
これの記載を元に、以前、ギャルドのサクソフォン歴代メンバーの一覧などというものをupしたこともありました。ついこのあいだのように思っていましたがもう15年も前でした。
http://thunder-sax.cocolog-nifty.com/diary/2007/11/post_7bc2.html

kuri さんのコメント...

木下様:
貴重なコメント、ありがとうございます。赤松氏は、当時随一の吹奏楽研究家の一人、といったところでしょうか。この本がもし無かったら、ギャルド黄金時代の体系的な情報が完全に欠く、という状態に陥っていたかもしれません。その後の種々の復刻音盤に対して、直接的・間接的に果たした役割も大きかったのだなと、コメントを拝見して感じ入ります。
日本近代音楽館という資料館は初めて聴きました。クリストファー野澤氏のレコードは、いま藝大が保管しているようですので、赤松氏の資料も、結果的に藝大が保管・維持しているのかもしれません。
http://www.lib.geidai.ac.jp/nozawa/
20枚のギャルド、あの衝撃は当時高校1年~2年だった私も、突然の登場に驚き、ミュールの盤を買って演奏に涙したものですが(サクソフォンの世界にどっぷりハマるきっかけでした)、そういった経緯があったのですね。多くの人に影響を与えた本なのだなと思います。

kuri さんのコメント...

Thunder様:
少し時間ができて、自由になるお金も若干ありますので、サクソフォンにまつわる資料で、未入手のものは今のうちに、と探したところ、良い状態の個体を定価ほどで入手できました。
その記事、見覚えがあります&私、コメントしてますね。当時まだ学生でした。